・TP53変異型骨髄異形成症候群患者が対象の第1b/2相試験
・アザシチジン+Eprenetapopt(エプレネタポプト)併用療法の有効性・安全性を検証
・客観的奏効率は73%を示し、奏効を認めた群の全生存期間は14.6ヵ月で統計学的有意に延長した
2021年1月15日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にてTP53変異型骨髄異形成症候群(MDS)患者に対するアザシチジン+Eprenetapopt(エプレネタポプト:APR-246)併用療法の有効性、安全性を検証した1b/2相試験(NCT03072043)の結果がH. Lee Moffitt Cancer Center and Research InstituteのDavid A. Sallman氏らにより公表された。
本試験は、TP53変異型骨髄異形成症候群(MDS:N=40人)、急性骨髄性白血病(AML:N=11人)、骨髄異形成/骨髄増殖性腫瘍(N=4人)患者に対してアザシチジン+Eprenetapopt(APR-246)併用療法を投与し、主要評価項目として最大耐用量(MTD)、完全奏効率(CR)、副次評価項目として客観的奏効率(ORR)、全生存期間(OS)などを検証した1b/2相試験である。
本試験が開始された背景として、骨髄異形成症候群(MDS)の約10~20%の患者でTP53変異型が確認されている。TP53変異型骨髄異形成症候群(MDS)に対するアザシチジン、デシタビンをはじめ低メチル化剤の治療成績は完全奏効率(CR)で15~20%程度、全生存期間(OS)中央値で5~12ヵ月程度であり効果不十分である。以上の背景より、TP53変異型骨髄異形成症候群(MDS)患者に対するアザシチジン+Eprenetapopt(APR-246)併用療法の有用性を検証する目的で本試験が開始された。
本試験の結果、全患者群における客観的奏効率(ORR)は71%を示し、その内完全奏効率(CR)は44%を示した。また、骨髄異形成症候群(MDS)における客観的奏効率(ORR)は73%を示し、その内完全奏効率(CR)は50%、急性骨髄性白血病(AML)における客観的奏効率(ORR)は64%を示し、その内完全奏効率(CR)は36%をそれぞれ示した。
また、全生存期間(OS)中央値は10.8ヵ月、奏効を示した患者群は14.6ヵ月、奏効を示さなかった患者群は7.5ヵ月であり、統計学的有意な改善を認めた。(p=0.0005)
以上の1b/2相試験の結果よりDavid A. Sallman氏らは「TP53変異型骨髄異形成症候群(MDS)患者に対するアザシチジン+Eprenetapopt(APR-246)併用療法は、高率な客観的奏効率(ORR)を示しました」と結論を述べている。
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