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再発難治性多発性骨髄腫(MM)に対するダラザレックス+カイプロリス+デキサメタゾン併用療法、奏効率(ORR)84%を示す米国血液学会(ASH2017)より

  • [公開日]2018.02.08
  • [最終更新日]2018.02.08

2017年12月9日から12日までアメリカ合衆国ジョージア州アトランタで開催された米国血液学会議(ASH2017)にて再発難治性多発性骨髄腫(MM)患者に対するダラツムマブ(商品名ダラザレックス;以下ダラザレックス)+カルフィルゾミブ(商品名カイプロリス;以下カイプロリス)+デキサメタゾン併用療法安全性を検証した第Ib相試験(NCT01998971)の結果がアメリカ合衆国・ジョージア州にあるWinship Cancer Institute所属のSagar Lonial氏らより公表された。

本試験は、再発難治性多発性骨髄腫(MM)患者(N=250人)に対してボルテゾミブ(商品名ベルケイド;以下ベルケイド)、レナリドミド(商品名レブラミド;以下レブラミド)、ポマリドミド(商品名ポマリスト;以下ポマリスト)などの様々な治療薬にダラザレックスを併用し、主要評価項目である有害事象(AE) 発症率、用量制限毒性DLT)などを検証したオープンラベルの第I相試験である。

なお、本発表は様々なダラザレックスとの併用レジメンのうちダラザレックス+カイプロリス+デキサメタゾン併用療法を投与した患者(N=85人) における結果である。

本試験に登録された患者背景は、年齢中央値66.0歳(38-85)、前治療歴中央値2レジメン、ベルケイド治療歴のある患者は99%、レブラミド治療歴のある患者は94%、自家造血幹細胞移植(ASCT)の治療のある患者は73%、プロテアソーム阻害薬(PI)と免疫調整薬(IMiD)の治療歴のある患者は98%であり、両剤に対して不耐性を示した患者は29%であった。

以上の背景を有する患者に対するフォローアップ期間中央値4.5ヶ月時点における主要評価項目である有害事象(AE) 発症率は下記の通りである。10%以上の患者で発症したグレード3または4の治療関連有害事象(TEAE) は血小板減少症27%、リンパ球減少症24%、貧血20%、好中球減少症18%、高血圧12%であった。また、重篤な有害事象(AE)は32%の患者で確認され、ダラザレックス関連が7%、カイプロリス関連が13%、デキサメタゾン関連が12%を示した。なお、投与中止になった患者は5%おり、その内1人の患者が死亡に至ったが治療とは関係のないものであった。

そして、本試験ではカイプロリス特有の心疾患系の有害事象(AE)についても検証しており、左室駆出率(LVEF)はベースライン時より時間の経過と伴に変化しなかった。グレード3の心疾患系の有害事象(AE)である心不全、心房細動、洞性頻拍を3人の患者がそれぞれ発症したがその症状は一次的なものであったが、グレード3のうっ血性心不全を1人の患者に関してはその症状は未解決である。

一方の有効性としては、客観的奏効率ORR)は84%を示し、その内訳としては厳格な完全奏効(sCR)4%、完全奏効(CR)9%、最良部分奏効(VGPR)47%、部分奏効(PR)25%を示した。なお、無増悪生存期間PFS)中央値は未到達(95%信頼区間:12.9-未到達)であり、12ヶ月無増悪生存率(PFS)は74%(95%信頼区間:54-86)を示した。

以上の第Ib相試験の結果より、再発難治性多発性骨髄腫(MM)患者に対するダラザレックス+カイプロリス+デキサメタゾン併用療法の安全性、有効性が証明された。特に、プロテアソーム阻害薬(PI)と免疫調整薬(IMiD)の治療歴のある患者が98%であったにも関わらず、客観的奏効率(ORR)84%という高い奏効を示したことに対し、Sagar Lonial氏らをはじめ多くの研究者らがこの結果を高く評価した。なお、再発難治性多発性骨髄腫(MM)患者に対するダラザレックス+カイプロリス+デキサメタゾン併用療法の有効性を検証した第III相のCANDOR試験(NCT03158688)が現在進行中である。

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