3月23日、中外製薬株式会社は、抗悪性腫瘍剤および微小管阻害薬結合抗CD79bモノクローナル抗体であるポライビー点滴静注(一般名:ポラツズマブ ベドチン(遺伝子組換え)、以下ポライビー)について、再発/難治性びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)に対する製造販売承認を取得したと発表した。
今回の承認によりポライビーは、ベンダムスチン塩酸塩(凍結乾燥注射剤)とリツキシマブ(遺伝子組換え)の併用(BR療法)と用いられる。
DLBCLは非ホジキンリンパ腫のうち最も患者数が多く、60歳代を中心とした中高年齢層で多く発症している。未治療のDLBCLに対する標準治療はリツキシマブ+化学療法であるが、約40%の患者で再発が認められ、十分な治療効果が得られていない。また、再発/難治性のDLBCLに対する治療として、自己造血幹細胞移植(ASCT)の実施が推奨されているが、適応患者の約半数がASCT前に実施する化学療法が奏効せず、ASCTが受けられていない。さらに、年齢や合併症などでASCTの適応とならない症例に対する標準治療は確立されていない。そのため、再発/難治性のDLBCLに対する有用性の高い新たな治療選択肢が求められている。
今回の承認は、海外で実施された第1b/2相(GO29365試験)と国内で行われた第2相JO40762/P-DRIVE試験などの結果に基づくもの。GO29365試験はASCTの適応とならない再発/難治性のDLBCL患者(N=80人)をポライビー+BR併用療法(N=40人)とBR療法(N=40人)とに振り分け、有効性と安全性を比較検討した多施設共同臨床試験である。主要評価項目である完全奏効割合は、ポライビー+BR療法群で40.0%、BR療法群では17.5%であったP-DRIVE試験では、ASCTの適応とならない再発/難治性のDLBCL患者(N=35人)におけるポライビー+BR療法の有効性と安全性を検討し、完全奏効割合は34.3%を示した。
中外製薬代表取締役社長CEOの奥田修氏は「血液がん領域においてリツキサンやガザイバに加え、今回新たにアンメットメディカルニーズの高い再発/難治性のDLBCLに対する新たな治療選択肢として、ポライビーを含めた併用療法を提供できることを大変嬉しく思います」と話すとともに、「ファーストインクラスの抗CD79b抗体薬物複合体(ADC: antibody-drug conjugate)である本剤を患者さんへお届けし、より良い治療の実現に貢献できるよう発売に向けた準備を進めてまいります」と述べている。
ポライビー(ポラツズマブ ベドチン)とは
ポライビーはヒト化抗CD79bモノクローナル抗体とチューブリン重合阻害剤をリンカーで結合させた、ファーストインクラスの抗CD79b抗体薬物複合体(ADC)。CD79bタンパクは、多くのB細胞で特異的に発現しており、ポラツズマブ ベドチンは正常細胞への影響を抑えつつそのCD79bに結合する。そして送達された薬剤によりB細胞が破壊されると考えられている。なお、未治療のDLBCLにおいても、ポライビーとR-CHP併用療法の有効性と安全性を、R-CHOP療法と比較する臨床試験(GO39942/POLARIX試験)が進行中である。
参照元:
中外製薬株式会社 ニュースリリース
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