・再発/難治性頭頸部扁平上皮がん患者が対象の第2相試験
・TPExレジメン(ドセタキセル+シスプラチン+セツキシマブ)の有効性・安全性を比較検証
・全生存期間中央値はTPExレジメン群14.5ヶ月であり、標準治療のEXTREMEレジメンに対し統計学的有意に改善せず
2021年3月5日、医学誌『The Lancet Oncology』にて再発/難治性頭頸部扁平上皮がん患者に対するTPExレジメン(ドセタキセル+シスプラチン+セツキシマブ)の有効性、安全性を標準治療であるEXTREMEレジメン(フルオロウラシル+シスプラチン+セツキシマブ)と比較検証した第2相試験(NCT02268695)の結果がCentre Antoine LacassagneのJoël Guigay氏らにより公表された。
本試験は、再発/難治性頭頸部扁平上皮がん患者(N=541人)に対して、TPExレジメン群(N=271人)とEXTREMEレジメン群(N=270人)に1対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として全生存期間(OS)を比較検証した多施設共同オープンラベルランダム化の第2相試験。TPExレジメンは21日を1サイクルとして1日目にドセタキセル75mg/m2+1日目にシスプラチン75mg/m2+1、8、15日目にセツキシマブ250mg/m2(1サイクル目は1日目に400mg/m2)を4サイクル投与し、維持療法として2週を1サイクルとしてセツキシマブ500mg/m2単剤療法を投与、EXTREMEレジメンは21日を1サイクルとして1~4日目にフルオロウラシル4000mg/m2+1日目にシスプラチン100mg/m2+1、8、15日目にセツキシマブ250mg/m2(1サイクル目は1日目に400mg/m2)を6サイクル投与し、維持療法として21日を1サイクルとして1週間ごとにセツキシマブ500mg/m2単剤療法を投与する。
本試験が開始された背景として、再発/難治性頭頸部扁平上皮がん患者に対するTPExレジメンは全生存期間(OS)中央値14.0ヶ月を示す程良好な治療成績を示した。以上の背景より、現在の再発/難治性頭頸部扁平上皮がんの標準治療であるEXTREMEレジメンとTPExレジメンを直接比較する目的で本試験が開始された。
本試験のフォローアップ期間中央値TPExレジメン群34.4ヶ月、EXTREMEレジメン群30.2ヶ月時点における結果は下記の通りである。主要評価項目である全生存期間(OS)中央値はTPExレジメン群14.5ヶ月(95%信頼区間:12.5-15.7ヶ月)に対してEXTREMEレジメン群13.4ヶ月(95%信頼区間:12.2-15.4ヶ月)で、両群間で統計学的有意な差は確認されなかった(HR:0.89、95%信頼区間:0.74-1.08、P=0.23)。
一方の安全性として、グレード3以上の有害事象(AE)発症率はTPExレジメン群81%(N=214/263人)に対してEXTREMEレジメン群93%(N=246/265人)を示した(P<0.0001)。重篤な有害事象(SAE)発症率はTPExレジメン群45%(N=118/263人)に対してEXTREMEレジメン群54%(N=143/265人)であった。また、有害事象(AE)による死亡はTPExレジメン群で16人、EXTREMEレジメン群で21人の患者で確認され、その主な原因は発熱性好中球減少症を含む重篤な感染症であった。
以上の第2相試験の結果よりJoël Guigay氏らは「再発/難治性頭頸部扁平上皮がん患者に対するTPExレジメンは、現在の標準治療であるEXTREMEレジメンに対して全生存期間(OS)の優越性を示すことはできませんでした。しかしながら、安全性はEXTREMEレジメンに比べてTPExレジメンの方が良好であるため、TPExレジメンはEXTREMEレジメンの代替治療選択肢になり得るでしょう」と結論を述べている。
この記事に利益相反はありません。