・複数治療歴のあるFLT3遺伝子変異陽性の再発/難治性急性骨髄性白血病患者が対象の第1b相試験
・ゾスパタ+ベネクレクスタ併用療法の有効性・安全性を検証
・奏効率86%、全生存期間(OS)中央値10.5ヶ月を示した
2021年6月9日~17日、バーチャルミーティングで開催された第25回欧州血液学会議(EHA 2021)にて、複数治療歴のあるFLT3遺伝子変異陽性の再発/難治性急性骨髄性白血病(AML)に対するFLT3阻害剤であるゾスパタ(一般名:ギルテリチニブ、以下ゾスパタ)+BCL-2阻害薬であるベネクレクスタ(一般名:ベネトクラクス、以下ベネクレクスタ)併用療法の有効性、安全性を比較検証した第1B相試験(NCT03625505)の結果がLurie Comprehensive Cancer CenterのJessica K. Altman氏らにより公表された。
本試験は、FLT3遺伝子変異陽性の再発/難治性急性骨髄性白血病(AML)に対して28日を1サイクルとして1日1回ゾスパタ80~120mg+1日1回ベネクレクスタ400mg併用療法を投与し、主要評価項目としてmCRc(完全な応答(CR)+不完全な血球数の回復を伴う完全奏効(CRi)+形態学的白血病のない状態(MLFS)の奏効率として定義)、副次評価項目として奏効持続期間(DOR)、全生存期間(OS)などを検証した第1B相試験である。
本試験が開始された背景として、FLT3遺伝子変異陽性の再発/難治性急性骨髄性白血病(AML)に対するFLT3阻害剤ゾスパタ単剤療法は、標準化学療法に比べて全生存期間(OS)を改善することが示されている。以上の背景より、FLT3遺伝子変異陽性の再発/難治性急性骨髄性白血病(AML)に対するFLT3阻害剤ゾスパタ+BCL-2阻害薬ベネクレクスタ併用療法の有用性を検証する目的で本試験が開始された。
本試験に登録された43人の患者背景は下記の通りである。年齢中央値は63歳(23~85歳)。前治療歴中央値は2レジメン(1~5レジメン)、2レジメン以上の治療歴のある患者は77%(N=33人)。前治療歴として造血幹細胞移植を行った患者は33%(N=14人)であった。以上の背景を有する患者に対する本試験の結果は下記の通りである。
グレード3~4の有害事象(AE)発症率は98%(N=42人)、グレード3以上の有害事象(AE)発症率は79%(N=34人)を示した。20%以上の患者で確認されたグレード3~4の非血液関連毒性は肺炎21%(N=9人)を示した。
主要評価項目であるmCRcは86%を示し、初回奏効までの期間中央値は1.0ヶ月(0.7~4.6ヶ月)を示した。副次評価項目である全生存期間(OS)中央値は10.5ヶ月(95%信頼区間:9.6ヶ月~未到達)、奏効持続期間(DOR)中央値は5.6ヶ月(95%信頼区間:3.4~8.3ヶ月)を示した。
以上の第1B相試験の結果よりJessica K. Altman氏らは「複数治療歴のあるFLT3遺伝子変異陽性の再発/難治性急性骨髄性白血病(AML)に対するFLT3阻害剤ゾスパタ+BCL-2阻害薬ベネクレクスタ併用療法は、高率なmCRcを示し、忍容性も良好でした」と結論を述べている。
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