・プラチナ系抗がん剤ベースの治療後に病勢進行した胸膜悪性中皮腫/腹膜悪性中皮腫患者が対象の第3相試験
・オプジーボ単剤療法の有効性・安全性をプラセボと比較検証
・無増悪生存期間はオプジーボ群3.0ヶ月に対してプラセボ群1.8ヶ月であり病勢進行または死亡のリスクを33%減少した
10月14日、医学誌『The Lancet Oncology』にてプラチナ系抗がん剤ベースの治療後に病勢進行した胸膜悪性中皮腫/腹膜悪性中皮腫患者に対する抗PD-1抗体薬であるオプジーボ(一般名:ニボルマブ、以下オプジーボ)単剤療法の有効性、安全性を検証した第3相試験(NCT03063450)の結果がLeicester Cancer Research CentreのDean A Fennell氏らにより公表された。
本試験は、プラチナ系抗がん剤ベースの治療後に病勢進行した胸膜悪性中皮腫/腹膜悪性中皮腫患者(N=332人)に対して2週を1サイクルとしてオプジーボ240mg単剤療法を病勢進行するまで最大12ヶ月投与する群(N=221人)、またはプラセボ単剤療法を投与する群(N=111人)に2対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)を比較検証した多施設共同プラセボ対照の第3相試験である。
本試験が開始された背景として、プラチナ系抗がん剤ベースの治療後に病勢進行した胸膜悪性中皮腫/腹膜悪性中皮腫患者に対する治療薬として、第3相試験で全生存期間(OS)を改善する効果を示した治療法は存在しない。以上の背景より、プラチナ系抗がん剤ベースの治療後に病勢進行した胸膜悪性中皮腫/腹膜悪性中皮腫患者に対する抗PD-1抗体薬オプジーボ単剤療法の有用性を検証する目的で本試験が開始された。
本試験のフォローアップ期間中央値11.6ヶ月(7.2~16.8ヶ月)時点における結果は下記の通りである。主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値はオプジーボ群の3.0ヶ月(95%信頼区間:2.8~4.1ヶ月)に対してプラセボ群で1.8ヶ月(95%信頼区間:1.4~2.6ヶ月)と、オプジーボ群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクを33%減少(HR:0.67、95%信頼区間:0.53-0.85、P=0.0012)した。
また、もう1つの主要評価項目である全生存期間(OS)中央値はオプジーボ群の10.2ヶ月(95%信頼区間:8.5~12.1ヶ月)に対してプラセボ群で6.9ヶ月(95%信頼区間:5.0~8.0ヶ月)と、オプジーボ群で死亡(OS)のリスクを31%減少(HR:0.69、95%信頼区間:0.52-0.91、P=0.0090)した。
一方の安全性として、最も多くの患者で確認されたグレード3以上の治療関連有害事象(TRAE)は、下痢がオプジーボ群の3%に対してプラセボ群で2%、インフュージョンリアクションが3%に対して0%だった。重篤な有害事象(SAE)発症率はオプジーボ群の41%(N=90/221人)に対してプラセボ群で44%(N=49/111人)、治療関連有害事象(TRAE)による死亡は1人も確認されなかった。
以上の第3相試験の結果よりDean A Fennell氏らは「プラチナ系抗がん剤ベースの治療後に病勢進行した胸膜悪性中皮腫/腹膜悪性中皮腫患者に対する抗PD-1抗体薬オプジーボ単剤療法は、臨床的ベネフィットを示す治療になり得る可能性を示しました」と結論を述べている。
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