・BRCA遺伝子変異陽性の進行性卵巣がん患者が対象の第3相試験
・維持療法としてのリムパーザ単剤療法の有効性・安全性をプラセボと比較検証
・無増悪生存期間は56.0ヶ月であり、プラセボ群と比較して死亡リスクを67%減少した
2021年10月26日、医学誌『The Lancet Oncology』にてBRCA遺伝子変異陽性の進行期高悪性度漿液性、卵巣類内膜がんに対して白金製剤ベースの化学療法の維持療法としてのPARP阻害薬であるリムパーザ(一般名:オラパリブ、以下リムパーザ)単剤療法の有効性、安全性を比較検証した第3相のSOLO1/GOG 3004試験(NCT01844986)の5年長期フォローアップの結果がThe Royal Marsden NHS Foundation Trust and Institute of Cancer ResearchのSusana Banerjee氏らにより公表された。
SOLO1/GOG 3004試験は、BRCA遺伝子変異陽性の進行期高悪性度漿液性、卵巣類内膜がん患者(N=260人)対して白金製剤ベースの化学療法の維持療法として1日2回リムパーザ300mg単剤を最大2年間投与する群(N=260人)、もしくはプラセボを投与する群(N=131人)に2対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として無増悪生存期間(PFS)を比較検証した国際多施設共同無作為化二重盲検下の第3相試験である。
本試験の治療期間中央値はリムパーザ単剤群24.6ヶ月、プラセボ群13.9ヶ月、フォローアップ期間中央値はリムパーザ単剤群4.8年、プラセボ群5.0年であり、その時点における結果は下記の通りである。
主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値はリムパーザ単剤群の56.0ヶ月(95%信頼区間:41.9ヶ月~未到達)に対して、プラセボ群で13.8ヶ月 (95%信頼区間: 11.1~18.2ヶ月)と、リムパーザ単剤群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクを67%(HR:0.33、95%信頼区間:0.25~0.43)減少した。
一方の安全性として、最も多くの患者で確認されたグレード3もしくは4の治療関連有害事象(TRAE)は下記の通りである。貧血はリムパーザ単剤群の22%(N=57/260人)に対してプラセボ群で2%(N=2/130人)、好中球減少症は8%(N=22/260人)に対して5%(N=6/130人)を示した。重篤な有害事象(SAE)発症率はリムパーザ単剤群の21%(N=55/260人)に対してプラセボ群で13%(N=17/130人)であった。
以上のSOLO1/GOG 3004試験の5年長期フォローアップの結果よりSusana Banerjee氏らは「BRCA遺伝子変異陽性の進行期高悪性度漿液性、卵巣類内膜がんに対する維持療法としてのPARP阻害薬リムパーザ単剤療法は、治療を終えた後もその効果が持続されることが確認され無増悪生存期間を4~5年延長しました。これらの結果は、維持療法としてのリムパーザの使用を支持するものとなりました」と結論を述べている。
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