・再発難治性多発性骨髄腫患者が対象の第3相試験
・サークリサ+ポマリスト+デキサメタゾン併用療法の有効性・安全性を比較検証
・全生存期間はサークリサ+ポマリスト+デキサメタゾン併用群24.6ヶ月を示した
2022年2月10日、医学誌『The Lancet Oncology』にて複数治療歴のある再発難治性多発性骨髄腫患者に対する抗CD38モノクローナル抗体であるサークリサ(一般名:イサツキシマブ、以下サークリサ)+ポマリスト(一般名:ポマリドミド、以下ポマリスト)+デキサメタゾン併用療法の有効性、安全性を比較検証した第3相のICARIA-MM試験(NCT02990338)のアップデート解析の結果がDana-Farber Cancer InstituteのPaul G. Richardson氏らにより公表された。
ICARIA-MM試験とは、複数治療歴のある再発難治性多発性骨髄腫患者(N=307人)に対して4週を1サイクルとして1、8、15、22日目にサークリサ10mg/kg(2サイクル目以降は1、15日目)+1~21日目にポマリスト4mg+1、8、15、22日目にデキサメタゾン40mg(75歳以上の患者には20mg)併用療法を病勢進行または予期せぬ有害事象(AE)が発現するまで実施する群(N=154人)、または4週を1サイクルとして1~21日目にポマリスト4mg+1、8、15、22日目にデキサメタゾン40mg(75歳以上の患者には20mg)併用療法を病勢進行または予期せぬ有害事象(AE)が発現するまで実施する群(N=153人)に無作為に振り分け、主要評価項目として無増悪生存期間(PFS)、副次評価項目として全生存期間(OS)、安全性などを比較検証した第3相試験である。
本試験のアップデート解析の結果が開始された背景として、初回解析ではサークリサ+ポマリスト+デキサメタゾン併用療法で主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)を達成することが確認されている。以上の背景より、重要な副次評価項目である全生存期間(OS)の解析結果が公表された。
本試験のフォローアップ期間中央値35.3ヶ月時点における結果、重要な副次評価項目である全生存期間(OS)中央値はサークリサ+ポマリスト+デキサメタゾン併用群の24.6ヶ月(95%信頼区間:20.3~31.3ヶ月)に対してポマリスト+デキサメタゾン併用群で17.7ヶ月(95%信頼区間:14.4~26.2ヶ月)と、サークリサ+ポマリスト+デキサメタゾン併用群で死亡(OS)のリスクを24%減少(HR:0.76、95%信頼区間:0.57~1.01、P=0.028)した。
一方の安全性として、多くの患者で確認されたグレード3以上の治療関連有害事象(TRAE)は下記の通りである。好中球減少症がサークリサ+ポマリスト+デキサメタゾン併用群の50%(N=76/152人)に対してポマリスト+デキサメタゾン併用群で35%(N=52/149人)、肺炎が23%(N=35人)に対して21%(N=31人)、血小板減少症が13%(N=20人)に対して12%(N=18人)を示した。
重篤な有害事象(SAE)発症率はサークリサ+ポマリスト+デキサメタゾン併用群の73%(N=111人)に対してポマリスト+デキサメタゾン併用群で60%(N=90人)。治療関連有害事象(TRAE)による死亡はサークリサ+ポマリスト+デキサメタゾン併用群の1%(N=2人)に対してポマリスト+デキサメタゾン併用群で1%(N=2人)であった。
以上のICARIA-MM試験のアップデート解析の結果よりPaul G. Richardson氏らは「複数治療歴のある再発難治性多発性骨髄腫患者に対する抗CD38モノクローナル抗体サークリサ+ポマリスト+デキサメタゾン併用療法は、ポマリスト+デキサメタゾン併用療法に比べて全生存期間(OS)を6.9ヶ月改善し、新しい標準治療になる可能性を示唆しました。最終的な全生存期間(OS)のフォローアップが進行中です」と結論を述べている。
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