・導入療法後の転移性上咽頭がん患者が対象の第3相試験
・カペシタビン+最良支持療法(BSC)の有効性・安全性をBSCのみと比較検証
・無増悪生存期間はカペシタビン+BSCで35.9ヶ月であり、BSC(8.2ヶ月)に対して有意に改善を認めた
2月17日、医学誌『JAMA Oncology』にて導入療法後の転移性上咽頭がん患者に対する維持療法としてのカペシタビン+最良支持療法(BSC)の有効性、安全性を検証した第3相試験(NCT02460419)の結果がSun Yat-sen University Cancer CenterのGuo-Ying Liu氏らにより公表された。
本試験は、導入療法(パクリタキセル、シスプラチン、カペシタビン)後に病勢コントロール率を達成した転移性上咽頭がん患者(N=104人)に対する維持療法として3週を1サイクルとして1~14日目に1日2回カペシタビン1000mg/m2+最良支持療法(BSC)を実施する群(N=52人)、もしくは最良支持療法(BSC)を実施する群(N=52人)に1対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として無増悪生存期間(PFS)、副次評価項目として客観的奏効率(ORR)、奏効持続期間(DOR)、全生存期間(OS)、安全性などを比較検証した第3相試験である。
本試験のフォローアップ期間中央値33.8ヶ月時点における結果は下記の通りである。主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値は、カペシタビン+最良支持療法(BSC)群の35.9ヶ月(95%信頼区間:20.5ヶ月-未到達)に対して最良支持療法(BSC)群で8.2ヶ月(95%信頼区間:6.4-10.0ヶ月)を示し、カペシタビン+最良支持療法(BSC)で病勢進行または死亡(PFS)のリスクを56%(HR:0.44、95%信頼区間:0.26-0.74、P=0.002)統計学的有意に改善した。
副次評価項目である客観的奏効率(ORR)は、カペシタビン+最良支持療法(BSC)群の25.0%に対して最良支持療法(BSC)群で11.5%を示した。また、奏効持続期間(DOR)中央値は、カペシタビン+最良支持療法(BSC)群の40.0ヶ月(95%信頼区間:未到達)に対して最良支持療法(BSC)群で13.2ヶ月(95%信頼区間:9.9-16.5ヶ月)を示した。
一方の安全性として、カペシタビン+最良支持療法(BSC)群で最も多くの患者で確認されたグレード3もしくは4の有害事象(AE)は、貧血が12.0%(N=6/50人)、手足症候群が10.0%(N=5/50人)、吐き気/嘔吐が6.0%(N=3/50人)、疲労が4.0%(N=2/50人)、粘膜炎が4.0%(N=2/50人)であった。
以上の第3相試験の結果よりGuo-Ying Liu氏らは「導入療法後の転移性上咽頭がん患者に対する維持療法としてのカペシタビン+最良支持療法(BSC)は、最良支持療法(BSC)のみに比べて無増悪生存期間(PFS)を統計学的有意に改善しました。また、忍容性も問題ありませんでした」と結論を述べている。
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