3月24日、株式会社ヤクルト本社は、経口ホスファチジルイノシトール-3-キナーゼ(PI3K)δおよびPI3K-γ二重阻害剤であるデュベリシブ水和物(一般名、開発コード:YHI-1702、以下デュベリシブ)について、再発/難治性慢性リンパ性白血病(CLL)ならびに小リンパ球性リンパ腫(SLL)を適応症として国内での製造販売承認申請を行ったと発表した。
PI3K-δ/γは悪性B細胞とT細胞の増殖と生存を助ける働きを持つ。経口薬のデュベリシブはこれらの2つの酵素を阻害することで悪性B細胞とT細胞の増殖を抑える。
今回の承認申請は国内第1相試験および海外第3相DUO試験などの結果に基づくもの。多施設共同オープン試験である国内第1相試験では、再発/難治性のCLL/SLL患者を対象に、1日2回デュベリシブ25mgを投与し、主要評価項目として客観的奏効率(ORR)、副次評価項目として無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、安全性を検証した。
ヤクルト本社はリリースにて「新たな治療選択肢となる『デュベリシブ』を日本の患者さんおよび医療従事者に一日も早く提供できるよう、承認取得に向けて取り組んでまいります」と述べている。
デュベリシブは2022年3月時点で欧米を含む32か国において承認済み。末梢性T細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、成人T細胞白血病/リンパ腫に対する臨床試験が実施されている。
なお、ヤクルト本社は、デュベリシブの日本におけるすべてのがん適応症の治療、予防、または診断にかかわる開発および商業化に関する独占的ライセンスを米セキュラバイオ社から許諾されている。
慢性リンパ性白血病/小リンパ球性リンパ腫とは
慢性リンパ性白血病(CLL)/小リンパ球性リンパ腫(SLL)は、国内における発症率は年間10万人あたり1人未満の希少な血液がん。悪性のB細胞が血液や骨髄、リンパ節などで過剰増殖することで発症する。CLL/SLLは同一細胞のがんとされており、がん細胞の分布の違いによって区別されており、SLLは血液や骨髄に分布がないものを指す。通常、CLLとSLLの進行は緩やかであるが、治療抵抗性を示すもしくは再発することがあり、新たな治療選択肢が求められている。
参照元:
株式会社ヤクルト本社 ニュースリリース
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