・白金製剤を用いた同時化学放射線療法後に増悪が認められなかった切除不能局所進行性非小細胞肺がん患者が対象の第2相試験の5年フォローアップ解析
・イミフィンジ単剤療法の有効性・安全性をプラセボと比較検証
・イミフィンジ単剤療法の全生存期間は47.5ヶ月、無増悪生存期間は16.9ヶ月であり、統計学的有意に延長した
2021年6月4日~8日、オンラインミーティングで開催された第57回米国臨床腫瘍学会(ASCO 2021)にて白金製剤を用いた同時化学放射線療法後に増悪が認められなかった切除不能局所進行性非小細胞肺がん(NSCLC)患者に対する抗PD-L1抗体薬であるイミフィンジ(一般名:デュルバルマブ、以下イミフィンジ)単剤療法の有効性、安全性をプラセボと比較検証した第2相のPACIFIC試験(NCT02125461)の5年フォローアップ解析の結果がSarah Cannon Research Institute/Tennessee OncologyのDavid R. Spigel氏らにより公表された。
PACIFIC試験とは、白金製剤を用いた同時化学放射線療法後に増悪が認められなかった切除不能局所進行性非小細胞肺がん(NSCLC)患者(N=713人)に対して2週を1サイクルとしてイミフィンジ10mg/kg単剤療法を投与する群(N=476人)、またはプラセボ単剤療法を投与する群(N=237人)に2対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、副次評価項目として客観的奏効率(ORR)、奏効持続期間(DOR)などを比較検証した無作為化二重盲検プラセボ対照多施設国際共同試験である。
本試験の5年フォローアップ解析が実施された背景として、初回解析にて白金製剤を用いた同時化学放射線療法後に増悪が認められなかった切除不能局所進行性非小細胞肺がん(NSCLC)患者に対する抗PD-L1抗体薬イミフィンジ単剤療法によって死亡(OS)のリスクが32%減少(HR:0.68、95%信頼区間:0.53-0.87、P=0.0025)、病勢進行または死亡(PFS)のリスクが48%減少(HR:0.52、95%信頼区間:0.42-0.65、P<0.0001)することが示されている。以上の背景より、この有効性が長期に渡り示されるのかどうかを検証する目的で5年フォローアップ解析が実施された。
5年フォローアップ解析の結果、主要評価項目である全生存期間(OS)中央値は、イミフィンジ単剤群47.5ヶ月に対してプラセボ群で29.1ヶ月であり、イミフィンジ単剤群で死亡(OS)のリスクが28%減少(HR:0.72、95%信頼区間:0.59-0.89)した。もう1つの主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値は、イミフィンジ単剤群16.9ヶ月に対してプラセボ群5.6ヶ月であり、イミフィンジ単剤群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクを45%減少(HR:0.55、95%信頼区間:0.45-0.68)した。
また、60ヶ月全生存率(OS)はイミフィンジ単剤群42.9%に対してプラセボ群33.4%、60ヶ月無増悪生存率(PFS)はイミフィンジ単剤群33.1%に対してプラセボ群19.0%をそれぞれ示した。
以上のPACIFIC試験の5年フォローアップ解析の結果よりDavid R. Spigel氏らは「白金製剤を用いた同時化学放射線療法後に増悪が認められなかった切除不能局所進行性非小細胞肺がん(NSCLC)患者さんに対する抗PD-L1抗体薬イミフィンジ単剤療法は、5年に渡り長期に全生存期間(OS)、無増悪生存期間(PFS)を改善することが示されました」と結論を述べている。
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