・マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)の遺伝子異常を有する再発/難治性固形がん、リンパ腫小児患者が対象の第2相試験
・MEK阻害薬であるセルメチニブ単剤療法の有効性・安全性を検証
・客観的奏効は1人の患者でも確認できず、病勢安定は3人で確認された
4月1日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にてマイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)の遺伝子異常を有する1~21歳の再発/難治性固形がんならびにリンパ腫患者に対するMEK阻害薬であるセルメチニブ単剤療法の有効性、安全性を検証した第2相のA Pediatric MATCH Treatment Trial試験(NCT03213691)の結果がBaylor College of MedicineのOlive S. Eckstein氏らにより公表された。
The NCI-COG Pediatric MATCH試験は、マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)の遺伝子異常を有する1~21歳の再発/難治性固形がん、リンパ腫患者(N=20人、年齢中央値14歳)に対して28日を1サイクルとして1日2回セルメチニブ単剤療法を投与し、主要評価項目として客観的奏効率(ORR)、副次評価項目として無増悪生存期間(PFS)、忍容性を検証したシングルアームオープンラベルの第2相試験である。
本試験に登録された20人の患者のがん種は高悪性度神経膠腫(HGG)7人、 横紋筋肉腫7人。マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)の遺伝子異常の種類はKRAS遺伝子変異8人、NRAS遺伝子変異3人、HRAS遺伝子変異1人、NF1遺伝子変異7人、BRAF V600E遺伝子変異2人。以上の背景を有する患者に対する本試験の結果は下記の通りである。
主要評価項目である客観的奏効率(ORR)は1人の患者も確認されなかった。3人の患者で病勢安定(SD)が確認され、その患者の2人は高悪性度神経膠腫(HGG)であり、それぞれの遺伝子異常の種類はKRAS遺伝子変異、NF1遺伝子変異であった。副次評価項目である6ヶ月無増悪生存率(PFS)は15%(95%信頼区間:4-34%)を示した。治療中止に至るグレード3以上の有害事象(AE)発症率は25%(N=5人)で確認された。
以上のThe NCI-COG Pediatric MATCH試験の結果よりOlive S. Eckstein氏らは「MEK阻害薬は低悪性度神経膠腫(LGG)、叢状神経線維腫に良好な抗腫瘍効果を示している。しかしながら、マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)の遺伝子異常を有する再発/難治性固形がん、リンパ腫小児患者に対する抗腫瘍効果は限定的でした」と結論を述べている。
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