・転移性集合管腎細胞がん患者が対象の第2相試験
・一次治療としてのカボザンチニブ単剤療法の有効性・安全性を検証
・客観的奏効率は35%であり、内訳は病勢安定3人、部分奏効7人、完全奏効1人であった
4月14日、医学誌『JAMA Oncology』にて転移性集合管腎細胞がん患者に対するファーストライン治療としてのマルチキナーゼ阻害薬であるカボザンチニブ単剤療法の有効性、安全性を検証した第2相のBONSAI試験(NCT03354884)の結果がFondazione IRCCS Istituto Nazionale dei Tumori di MilanoのGiuseppe Procopio氏らにより公表された。
BONSAI試験は、転移性集合管腎細胞がん患者(N=23人)に対するファーストライン治療として1日1回カボザンチニブ60mg単剤を病勢進行または予期せぬ有害事象(AE)が発現するまで投与し、主要評価項目として客観的奏効率(ORR)、副次評価項目として無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)などを検証したシングルアームの第2相試験である。
本試験が開始された背景として、集合管腎細胞がんは非淡明細胞型腎細胞がんの一種であり、予後が不良で標準治療が存在しない。非淡明細胞型腎細胞がんに対するマルチキナーゼ阻害薬カボザンチニブ単剤療法の有用性はレトロスペクティブ試験で示されているが、プロスペクティブ試験では評価されていない。以上の背景より、転移性集合管腎細胞がん患者に対するファーストライン治療としてのマルチキナーゼ阻害薬カボザンチニブ単剤療法の有用性を検証する目的で本試験が開始された。
本試験の結果、主要評価項目である客観的奏効率(ORR)は35%(95%信頼区間:16-57%)を示し、奏効の内訳は病勢安定(SD)3人、部分奏効(PR)7人、完全奏効(CR)1人であった。その他評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値は4ヵ月(95%信頼区間:3-13ヶ月)、全生存期間(OS)中央値は7ヵ月(95%信頼区間:3-31ヶ月)を示した。
一方の安全性として、全ての患者少なくとも1種類のグレード1または2の有害事象(AE)の発症が確認されている。最も多くの患者で確認されたグレード1もしくは2の有害事象(AE)は、倦怠感が60%(N=14人)、食欲不振が39%(N=9人)、手足症候群が30%(N=7人)、甲状腺機能低下症が30%(N=7人)、粘膜炎が30%(N=7人)、下痢が22%(N=5人)、高血圧が13%(N=3人)であった。また、グレード3の有害事象(AE)は6人の患者で確認されており、動脈性高血圧が2人、肺血栓塞栓症が1人、出血が1人、倦怠感が2人であった。
以上のBONSAI試験の結果よりGiuseppe Procopio氏らは「転移性集合管腎細胞がん患者に対するファーストライン治療としてのマルチキナーゼ阻害薬カボザンチニブ単剤療法は、主要評価項目である客観的奏効率(ORR)を達成し、有望な治療選択肢になり得る可能性が示唆されました」と結論を述べている。
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