・治療ナイーブの進行性淡明細胞型腎細胞がん患者が対象の第2相試験
・オプジーボ単剤療法とサルベージ療法としてのオプジーボ+ヤーボイの有効性・安全性を検証
・客観的奏効率はオプジーボ単剤療法で34.1%であったが、サルベージ療法においては11.4%と限定的であった
4月20日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にて治療ナイーブの進行性淡明細胞型腎細胞がん(ccRCC)患者に対する抗PD-1抗体薬であるオプジーボ(一般名:ニボルマブ、以下オプジーボ)単剤療法、オプジーボ+抗CTLA-4抗体薬であるヤーボイ(一般名:イピリムマブ、以下ヤーボイ)併用療法の有効性、安全性を検証した第2相試験(NCT03117309)の結果がGeorgetown Lombardi Comprehensive Cancer CenterのMichael B. Atkins氏らにより公表された。
本試験は、治療ナイーブの進行性淡明細胞型腎細胞がん(ccRCC)患者(N=123人)に対してオプジーボ単剤療法を病勢進行または96週間投与する群(パートA)、または治療開始48週時点で病勢進行(PD)もしくは病勢安定(SD)患者に対するサルベージ療法としてオプジーボ+ヤーボイ併用療法を実施する群(パートB)に分け、主要評価項目としてPD-L1発現率20%以上群、0%群の1年無増悪生存率(PFS)を検証した第2相試験である。
本試験は、治療ナイーブの進行性淡明細胞型腎細胞がん(ccRCC)においてPD-L1発現率がバイオマーカーになり得るかどうか、またオプジーボ単剤療法に奏効を示さなかった進行性淡明細胞型腎細胞がん(ccRCC)に対するサルベージ療法としてのオプジーボ+ヤーボイ併用療法の有用性があるかどうかを検証する目的で開始された。
本試験の結果、客観的奏効率(ORR)は34.1%(95%信頼区間:25.8-43.2%)を示した。国際転移性腎細胞癌腫データベースコンソーシアム(IMDC)リスク分類別の客観的奏効率(ORR)はfavorable-risk群で57.1%、intermediate-risk/poor-risk群で25.0%、sarcomatoid features群で36.4%を示した。
PD-L1発現率別の客観的奏効率(ORR)は、PD-L1陽性率0%群で26.9%、PD-L1陽性率1-20%群で50.0%、PD-L1陽性率20%超群で75.0%を示した。奏効持続期間(DOR)中央値は27.6ヶ月(95%信頼区間:19.3ヶ月-未到達)であった。主要評価項目である1年無増悪生存率(PFS)は、PD-L1陽性率0%群で34.6%、PD-L1陽性率20%超群で75.0%それぞれ示した(P=0.050)。
パートAのうち、96人の患者で病勢進行(PD)または病勢安定(SD)を示したため、パートBへは35人の患者が登録された。パートBにおける客観的奏効率(ORR)は11.4%を示した。一方の安全性として、グレード3以上の治療関連有害事象(TRAE)はオプジーボ単剤療法で35%、オプジーボ+ヤーボイ併用療法で43%であった。
以上の第2相試験の結果、Michael B. Atkins氏らは「治療ナイーブの進行性淡明細胞型腎細胞がん(ccRCC)患者に対する抗PD-1抗体薬オプジーボ単剤療法の抗腫瘍効果は良好でした。また、抗腫瘍効果はPD-L1発現率に関係しておりました。一方、サルベージ療法としてのオプジーボ+ヤーボイ併用療法の抗腫瘍効果は限られたものでした」と結論を述べている。
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