5月26日、中外製薬株式会社は、「PD-L1陽性の非小細胞肺がんにおける術後補助療法を適応症として抗PD-L1ヒト化モノクローナル抗体/抗悪性腫瘍剤であるテセントリク点滴静注1200mg(一般名:アテゾリズマブ(遺伝子組換え)、以下テセントリク)の適応追加承認を取得したと発表した。非小細胞肺がんに対する術後補助療法としてのがん免疫療法の適応追加は国内初。
肺がんは日本人のがん要因の死亡第1位のがん腫である。非小細胞肺がんは組織型により小細胞肺がんと非小細胞肺がんに大別され、非小細胞肺がんは肺がんの約85%の患者数を占める。
今回の承認は第3相IMpower010試験の結果に基づくもの。同試験は、PD-L1の発現率が1%以上のII~IIIA期の非小細胞肺がん患者を対象にテセントリクを術後補助療法として投与した際の有効性と安全性を支持療法(BSC)と比較検証した試験である。同試験の結果、テセントリク群で無病生存期間(DFS)を延長した。
代表取締役社長CEOの奥田修氏は、プレスリリースにて「早期がんでは、再発を防ぎ治療の最終目標である治癒の可能性を上げることが非常に大切です。テセントリクは、過去10年以上にわたり治療法の大きな進展が見られなかった早期肺がんにおいて、再発または死亡リスクの低下を示した初のがん免疫療法です。非小細胞肺がんの術後補助療法への貢献を目指し、引き続き適正使用情報の提供に努めてまいります」と述べている。
なお、PD-L1の発現状況は、病理検査用キットである「ベンタナ OptiView PD-L1(SP263)」によって確認される。同検査キットはロシュ・ダイアグのスティックス株式会社によって販売され、テセントリクのPD-L1陽性の非小細胞肺がんの適応判定を補助するコンパニオン診断として、5月23日に承認されている。
テセントリクとは
抗PD-L1ヒト化モノクローナル抗体であるテセントリクは、2018年に「切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん」を効能・効果として発表されて以降、「進展型小細胞肺がん」も含め肺がん領域において5つの適応承認を取得しており、今回で6つ目の承認となる。今回の承認では、「PD-L1陽性の非小細胞肺癌における術後補助療法」が追記された。肺がんのほか、乳がん、肝細胞がんにおいて適応を有している。
Impower010試験とは
Impower010試験は、PD-L1が1%以上発現しているII期~IIIA期の非小細胞肺がんのうち、手術およびシスプラチンを含む化学療法を実施した患者(N=1005人)を対象に、テセントリクを16サイクル投与する群と支持療法(BSC)群に1:1で割り付け、主要評価項目として無病生存期間(DFS)、副次評価項目として全生存期間(OS)を比較検証した第3相試験。その結果、テセントリク群において再発または死亡のリスク(DFS)を34%低下させた。(HR:0.66、95%信頼区間:0.50~0.88)。
参照元:
中外製薬株式会社 プレスリリース
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