・進行性/転移性腎細胞がん患者が対象の第3相試験
・一次治療としてオプジーボ+カボメティクス併用療法の有効性・安全性をスニチニブと比較検証
・全生存期間はオプジーボ+カボメティクス併用群37.7ヶ月であり、スニチニブ単剤群(34.3ヶ月)に対して改善を示した
6月7日、医学誌『The Lancet Oncology』にて進行性/転移性腎細胞がん(RCC)患者に対するファーストライン治療として抗PD-1抗体薬であるオプジーボ(一般名:ニボルマブ、以下オプジーボ)+マルチキナーゼ阻害薬であるカボメティクス(一般名:カボザンチニブ、以下カボメティクス)併用療法の有効性、安全性を検証した第3相のCheckMate-9ER試験(NCT03141177)の結果がMemorial Sloan Kettering Cancer CenterのRobert J Motzer氏らにより公表された。
CheckMate-9ER試験とは、未治療の進行/転移性腎細胞がん(RCC)患者(N=651人)に対して2週を1サイクルとしてオプジーボ240mg+1日1回カボメティクス40mg併用療法を実施する群(N=323人)、または6週を1サイクルとして1日1回スニチニブ50mg単剤療法を4週間実施後、2週間休薬する群(N=328人)に無作為に振り分け、主要評価項目として無増悪生存期間(PFS)、副次評価項目として全生存期間(OS)、客観的奏効率(ORR)などを比較検証した多国籍共同無作為化非盲検第3相試験である。
本試験のフォローアップ期間中央値32.9ヶ月時点における結果、主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値は、オプジーボ+カボメティクス併用群の16.6ヶ月(95%信頼区間:12.8-19.8ヶ月)に対してスニチニブ単剤群で8.3ヶ月(95%信頼区間:7.0-9.7ヶ月)、オプジーボ+カボメティクス併用群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクを44%減少(HR:0.56、95%信頼区間:0.46-0.68、P<0.0001)した。
副次評価項目である全生存期間(OS)中央値は、オプジーボ+カボメティクス併用群の37.7ヶ月(95%信頼区間:35.5ヶ月-未到達)に対してスニチニブ単剤群で34.3ヶ月(95%信頼区間:29.0ヶ月-未到達)と、オプジーボ+カボメティクス併用群で死亡(OS)のリスクを30%減少(HR:0.70、95%信頼区間:0.55-0.90、P=0.0043)した。
一方の安全性として、グレード3~4の治療関連有害事象(TRAE)発症率は、オプジーボ+カボメティクス併用群の65%(N=208人)に対してスニチニブ単剤群で54%(N=172人)を示した。最も多くの患者で確認されたグレード3~4の治療関連有害事象(TRAE)は、高血圧がオプジーボ+カボメティクス併用群の13%に対してスニチニブ単剤群で12%、手足症候群が8%に対して8%、下痢が7%に対して5%をそれぞれ示した。重篤な有害事象(SAE)発症率は、オプジーボ+カボメティクス併用群の22%に対してスニチニブ単剤群で10%を示した。
以上のCheckMate-9ER試験の結果よりRobert J Motzer氏らは「未治療の進行/転移性腎細胞がん(RCC)患者に対する抗PD-1抗体薬オプジーボ+マルチキナーゼ阻害薬カボメティクス併用療法は、全生存期間(OS)を改善し、進行性/転移性腎細胞がん(RCC)のファーストライン治療における併用療法をさらに支持するものでした」と結論を述べている。
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