7月29日、厚生労働省薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会は、審議項目として5製品の審議を行い、抗がん剤関連は1製品であった。また、報告事項※として5製品を報告し、うち3製品ががん関連であった。
※報告事項:医薬品医療機器総合機構(PMDA)の審査段階において、承認して差し支えないとされ、部会では審議せず報告のみでいいと判断されたもの。
目次
審議品目
リムパーザ錠100mg、同錠150mg(一般名:オラパリブ)
効能・効果: BRCA 遺伝子変異陽性かつHER2陰性で再発高リスクの乳がんにおける術後薬物療法
申請企業:アストラゼネカ
PARP阻害剤のリムパーザは、BRCA1/2遺伝子変異や新規ホルモン製剤(NHA)など他の薬剤によって引き起こされる相同組換え修復(HRR)の欠損を有する細胞または腫瘍のDNA損傷応答(DDR)を阻害する。DNA一本鎖切断に結合するPARPと結合し、複製フォーク停止と崩壊を惹起することで、DNA二本鎖切断を起こし、がん細胞を死滅させる。
今回、新たに乳がんの術後療法として承認された。1日2回、1回300mgを経口投与する。投与期間は最大1年間。
報告品目
タグリッソ錠40mg、同80mg(一般名:オシメルチニブ酸塩)
効能・効果:EGFR遺伝子変異陽性の非小細胞肺がんにおける術後補助療法
申請企業:アストラゼネカ
第3世代の不可逆的EGFR阻害薬であるタグリッソは、中枢神経系の転移に対しても臨床活性を示している。
今回、非小細胞肺がんの術後補助療法が承認された。具体的にはステージIB期、II期、IIIA期の腫瘍完全切除後の術後補助療法として、1日1回80mgを経口投与する。投与期間は最大3年間。
キイトルーダ点滴静注100mg(一般名:ペムブロリズマブ(遺伝子組換え))
効能・効果:腎細胞がんにおける術後補助療法
申請企業:MSD
キイトルーダは、自己の免疫力を高め、がん細胞を見つけて攻撃するのを助ける抗PD-1抗体薬。PD-1とそのリガンドであるPD-L1/2との相互作用を阻害して、がん細胞を攻撃するTリンパ球を活性化するヒト化モノクローナル抗体である。
今回、腎細胞がんにおける術後補助療法として承認された。3週間間隔でキイトルーダ200mgを静脈内投与する。投与期間は最大1年間。
ポライビー点滴静注用30mg、同点滴静注140mg(一般名:ポラツズマブベドチン(遺伝子組換え))
効能・効果:びまん性大細胞型B細胞リンパ腫
申請企業:中外製薬
ポライビーは、CD79bというタンパクを標的とするファーストインクラスの抗体薬物複合体(ADC)。CD79bタンパク質は、B細胞の大部分に特異的に発現しており、一部の種類の非ホジキンリンパ腫(NHL)に影響を与えるといわれている。同剤は、がん細胞の細胞膜上に発現するCD79bに結合し、抗がん剤の送達によりこれらのB細胞を殺傷し、正常細胞への影響を抑えると考えられている。
今回の承認により、これまでの適応である「再発または難治性のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)」から「再発または難治性」が削除され、一次治療から使用が可能になる。
参照元:
厚生労働省 薬事・食品衛生審議会(薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会)
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