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キイトルーダのサプライズ承認はバイオテクノロジー企業にとって何を意味するのかEvaluate Vantage(2021.05.06)より

  • [公開日]2021.05.14
  • [最終更新日]2021.05.14

※本記事はEvaluate社の許可のもと、オンコロが翻訳したものです。内容および解釈については英語の原文を優先します。正確な内容については原文をお読みください。

 

Her2陽性のがんには、キイトルーダの3剤併用が適応されており、一部の免疫賦活剤の試験デザインに影響を与える可能性がある。

昨日(5月5日)、キイトルーダ/ハーセプチン/化学療法の3剤併用療法が米国で承認されたが、申請されていることすらほとんど知られていなかったため、その裏付けとなるKeynote-811試験のデータに焦点が当てられている。この試験の結果は、来月のASCO年次総会で初めて発表される予定だったが、キイトルーダの新たな承認によって今日(5月6日)から見ることができる。

このデータは寛解率に関するもので、ハーセプチンまたは化学療法のみの場合に比べてベネフィットがあることを示しており、この重要な事実は米Pieris社や米Silverback社などのバイオテック企業の開発戦略に影響を与える可能性がある。そしてもちろん、今回の予想外の承認により、キイトルーダは重要な適応症で米ブリストル・マイヤーズ スクイブ社のオプジーボと競合することになる。

米国では、(キイトルーダは)Her2陽性の胃・胃食道接合部腺がん一次治療として早期に承認された。4月、オプジーボはこのがんにおいてHer2の状態の規定なしに承認されたが、その添付文書は、裏付けとなる研究であるCheckmate-649試験がHer2陽性患者を除外したことを強調している。

米Leerink社のアナリストは、年間約1万人の胃・胃食道接合部腺がん患者が一次治療を受けており、そのうち約4分の1がHer2陽性であると見ており、その市場規模は3億ドルに達すると見込んでいる。

胃がん・食道がんの領域では、組織型PD-L1の状態に応じて異なる適応で承認されているため、複雑な状況となっている。特に胃・胃食道接合部腺がんでは、PD-L1発現率が1%以上の場合、キイトルーダ単剤療法が3次治療として承認されているが、この適応の継続は、先月、米FDAの諮問委員会会議の投票により否定的な意見が出た

では、Keynote-811試験はどうだろうか? 732人の患者を対象としたこの第3相試験では、キイトルーダ/ハーセプチン/化学療法の三剤併用をハーセプチンまたは化学療法と比較し、ランダム化された最初の264例では、対照群の52%(完全奏功率は3%)に対し、74%の全寛解率(完全奏功率は11%)を示した。

この優位性は、p値が0.0001を下回っており統計的に強く有意であることが、最新のキイトルーダの添付文書で明らかにされている。これまでHer2を標的にPD-(L)1阻害薬を追加しても、あまり効果が得られなかったことを考えると、この結果は予想外のポジティブなものと言えそうだ。

ISACの開発

この結果は、米メルク社とブリストル社だけでなく、Her2阻害薬と免疫賦活剤の併用療法をテストしている他のいくつかの企業にも関係する。これには、CD3を標的としたT細胞誘導抗体や、より新しい世代のいわゆる免疫刺激抗体複合体(ISAC)が含まれる。

後者のグループには、Pieris社で問題となっているHer2阻害薬に4-1BB共刺激因子を加えたcinrebafusp、中国Innovent社のHer2とPD-1の直列二重特異抗体であるIBI315、そして米Bolt Therapeutics社、Silverback社、スイスNovartis社のTLR7および/またはTLR8アゴニズムを用いて免疫系を刺激する3つのADCがある。

Keynote-811試験が示しているのは、Her2に拮抗して免疫系を活性化させることが有効であるということだが、決定的なのは、おそらく化学療法と組み合わせて3つのアプローチを行った場合に限られるということだ。

ISACの製品の中には、非常に初期の段階で単剤療法を行っているものもあれば、抗PD-(L)1抗体との併用療法を行っているものもある。しかし、米Dragonfly社がメルク社と共同開発したDF1001臨床試験では化学療法も併用されており、その試験ではアブラキサンが使われている。

ISACのパイプラインの残りの部分を試験する次の段階では、化学療法を秘伝のタレとして加えることになるのかもしれない。

■出典
A surprise Keytruda approval, and what it means for biotech

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