・ROS1陽性の進行性非小細胞肺がん患者が対象の第1/2相試験
・ローブレナ単剤療法の有効性・安全性を検証
・頭蓋内病変の奏効率は前治療歴としてチロシンキナーゼ阻害剤のない患者で64%を示した
2019年10月25日、医学誌『The Lancet Oncology』にてROS1陽性の進行性非小細胞肺がん患者に対する第3世代ALKチロシンキナーゼ阻害剤であるロルラチニブ(商品名ローブレナ;以下ローブレナ)単剤療法の有効性、安全性を検証した第1/2相試験(NCT01970865)の結果がMassachusetts General HospitalのAlice T Shaw氏らにより公表された。
本試験は、ROS1陽性の進行性非小細胞肺がん患者に対して1日1回ローブレナ100mg単剤療法を投与し、主要評価項目として客観的奏効率(ORR)、副次評価項目として安全性などを検証したオープンラベルシングルアームの第1/2相試験である。
本試験の結果、主要評価項目である客観的奏効率(ORR)は下記の通りである。前治療歴としてチロシンキナーゼ阻害剤のない患者(N=21人)は62%(95%信頼区間:38%–82%)、前治療歴としてクリゾチニブの治療を受けた患者(N=40人)は35%(95%信頼区間:21%–52%)。
また、頭蓋内病変の奏効率は下記の通りである。前治療歴としてチロシンキナーゼ阻害剤のない患者(N=11人)は64%(95%信頼区間:31%–89%)、前治療歴としてクリゾチニブの治療を受けた患者(N=24人)は50%(95%信頼区間:29%–71%)。
一方の安全性として、最も多くの患者で確認されたグレード3~4の治療関連有害事象(TRAE)は高トリグリセリド血症19%、高コレステロール血症14%であった。また、69人の患者のうち5人で重篤な治療関連有害事象(SAE)が発生したが、 治療に関連した死亡は報告されなかった。
以上の第1/2相試験の結果よりAlice T Shaw氏らは以下のように結論を述べている。”ROS1陽性の進行性非小細胞肺がん患者に対する第3世代ALKチロシンキナーゼ阻害剤ローブレナ単剤療法は、脳転移のある患者、クリゾチニブ治療歴のある患者に対しても良好な抗腫瘍効果を示しました。”