・ゲムシタビンベースの化学療法後に病勢進行した進行性/転移性膵管腺がん患者を対象とした第3相試験
・FOLFOX+Pegilodecakin併用療法の有効性・安全性を比較検証
・全生存期間、無増悪生存期間、客観的奏効率を統計学的有意に改善せず
2020年1月23日(木)~25日(土)に米国・サンフランシスコで開催された米国臨床腫瘍学会消化器がんシンポジウム(2020 Gastrointestinal Cancers Symposium)にて、ゲムシタビンベースの化学療法後に病勢進行した進行性/転移性膵管腺がん患者に対するFOLFOX+ペグ化されたIL-10であるPegilodecakin併用療法の有効性、安全性を比較検証した第3相のSEQUOIA試験(NCT02923921)の結果がSanta MonicaのJ. Randolph Hecht氏らにより公表された。
SEQUOIA試験とは、ゲムシタビンベースの化学療法後に病勢進行した進行性/転移性膵管腺がん患者(N=567人)に対して2週を1サイクルとしてFOLFOX(ロイコボリン400mg/m2+オキサリプラチン85mg/m2+5-FU400mg/m2)+1~5日目、8~12日目に1日1回Pegilodecakin0.4~0.8mg併用療法を投与する群(N=283人)、または2週を1サイクルとしてFOLFOX療法を投与する群(N=284人)に1対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として全生存期間(OS)、副次評価項目として無増悪生存期間(PFS)、客観的奏効率(ORR)、安全性などを比較検証した第3相試験である。
本試験の結果、主要評価項目である全生存期間(OS)中央値はFOLFOX+Pegilodecakin群5.8ヶ月に対してFOLFOX群6.3ヶ月、FOLFOX+Pegilodecakin群で死亡(OS)のリスク4.5%増加(HR:1.045,95%信頼区間:0.863−1.265,P=0.6565)した。
副次評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値はFOLFOX+Pegilodecakin群2.1ヶ月に対してFOLFOX群2.1ヶ月、FOLFOX+Pegilodecakin群で病勢進行または死亡(PFS)のリスク1.9%減少(HR:0.981,95%信頼区間:0.808-1.190,P=0.8144)した。また、客観的奏効率(ORR)はFOLFOX+Pegilodecakin群4.6%に対してFOLFOX群5.6%を示した。
一方の安全性として、FOLFOX群よりもFOLFOX+Pegilodecakin群で5%以上多く発現が確認されたグレード3以上の有害事象(AE)は下記の通りである。血小板減少性はFOLFOX+Pegilodecakin群25.2%に対してFOLFOX群3.6%、貧血はFOLFOX+Pegilodecakin群16.2%に対してFOLFOX群4.0%、好中球減少症はFOLFOX+Pegilodecakin群29.5%に対してFOLFOX群22.7%、疲労はFOLFOX+Pegilodecakin群17.6%に対してFOLFOX群10.8%を示した。
以上のSEQUOIA試験の結果よりRandolph Hecht氏らは以下のように結論を述べている。”ゲムシタビンベースの化学療法後に病勢進行した進行性/転移性膵管腺がん患者に対するFOLFOX+Pegilodecakin併用療法は、FOLFOX療法に比べて全生存期間(OS)、無増悪生存期間(PFS)、客観的奏効率(ORR)を統計学的有意に改善しませんでした。”
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