・進行性/転移性固形がん患者が対象の第1相試験
・Anetumab Ravtansine単剤療法の有効性・安全性を検証
・患者148人のうち、138人で抗腫瘍効果が測定された
2020年3月26日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にて進行性/転移性固形がん患者に対する抗メソテリンモノクローナル抗体薬物複合体であるAnetumab Ravtansine(BAY 94-9343)単剤療法の有効性、安全性を検証した第1相試験(NCT01439152)の結果がNational Cancer InstituteのRaffit Hassan氏らにより公表された。
本試験は、進行性/転移性固形がん患者(N=148人)に対して3週を1サイクルとしてAnetumab Ravtansine(BAY 94-9343)単剤療法を投与し、主要評価項目として用量制限毒性(DLT)、副次評価項目として全奏効率(ORR)、無増悪生存期間(PFS)などを検証した非ランダム化オープンラベルの第1相試験である。
本試験が開始された背景として、メソテリンは胸膜、腹膜、心膜腔の中皮内層細胞膜表面に発現する糖蛋白であり、乳がん、膵がん、卵巣がんなどの悪性腫瘍に過剰発現することが報告されている。また、メソテリンは腫瘍転移に重要な役割を果たす可能性があり、正常組織でのメソセリンの発現は限られており、腫瘍特異的治療の適切な標的となる。以上の背景より抗メソテリンモノクローナル抗体薬物複合体であるAnetumab Ravtansine(BAY 94-9343)の有用性が本試験にて検証された。
本試験の結果、第2相試験推奨用量は3週を1サイクルとしてAnetumab Ravtansine(BAY 94-9343)6.5 mg/kg、または1週を1サイクルとしてAnetumab Ravtansine(BAY 94-9343)2.2 mg/kgとして決定された。
3週を1サイクルとした6.5 mg/kg用量群(N=38人)における20%以上の患者で確認された全グレードの治療関連有害事象(TRAE)は疲労、吐き気、下痢、拒食症、嘔吐、末梢神経障害、AST上昇、視覚障害、角膜炎、便秘、腹痛、低アルブミン血症、ALP上昇、高血糖、ドライアイ、血小板数減少、頭痛であった。また、グレード3以上の治療関連有害事象(TRAE)は疲労、角膜炎、吐き気であった。
一方の有効性として、148人の患者の内138人で抗腫瘍効果が測定され、1人の患者で完全奏効(CR)、11人の患者で部分奏効(PR)、66人の患者で病勢安定(SD)を達成した。なお、メソテリン高発現の患者群において抗腫瘍効果が確認されている。
以上の第I相試験の結果よりRaffit Hassan氏らは以下のように結論を述べている。”進行性/転移性固形がん患者に対する抗メソテリンモノクローナル抗体薬物複合体であるAnetumab Ravtansine(BAY 94-9343)単剤療法は忍容性が良好であり、メソテリン高発現の患者さんにおいて良好な抗腫瘍効果が確認されました。”
この記事に利益相反はありません。