・全身治療歴のない進行性/転移性ALK陽性非小細胞肺がん患者が対象の第3相試験
・ローブレナ単剤療法の有効性・安全性を比較検証
・12ヵ月無増悪生存率は78%で、ザーコリ群に対して病勢進行または死亡リスクを72%統計学的有意に減少
2020年11月19日、医学誌『The New England Journal of Medicine』にて全身治療歴のない進行性/転移性ALK陽性非小細胞肺がん患者に対するファーストライン治療としての第3世代ALKチロシンキナーゼ阻害薬であるローブレナ(一般名:ロルラチニブ、以下ローブレナ)、ザーコリ(一般名:クリゾチニブ、以下ザーコリ)単剤療法の有効性を比較検証した第3相試験(NCT03052608)の中間解析の結果がMassachusetts General HospitalのAlice T. Shaw氏らにより公表された。
本試験は、全身治療歴のない進行性/転移性ALK陽性非小細胞肺がん患者(N=296人)に対して1日1回ローブレナ100mg単剤療法を投与する群、1日2回ザーコリ250mg単剤療法を投与する群に無作為に振り分け、主要評価項目として無増悪生存期間(PFS)、副次評価項目として客観的奏効率(ORR)などを比較検証した国際多施設共同の第3相試験である。
本試験の結果、主要評価項目である12ヵ月無増悪生存率(PFS)はローブレナ群78%(95%信頼区間:70-84%)に対してザーコリ群39%(95%信頼区間:30-48%)、ローブレナ群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクを72%(HR:0.28,95%信頼区間:0.19-0.41、P<0.001)統計学的有意に減少した。
副次評価項目である客観的奏効率(ORR)はローブレナ群76%(95%信頼区間:68-83%)に対してザーコリ群58%(95%信頼区間:49-66%)、脳転移のある患者群における客観的奏効率(ORR)はローブレナ群82%(95%信頼区間:57-96%)に対してザーコリ群23%(95%信頼区間:5-54%)を示した。
一方の安全性として、最も多くの患者で確認されたローブレナ群における治療関連有害事象(TRAE)は高脂血症、浮腫、体重増加、末梢神経障害などであった。グレード3~4の治療関連有害事象(TRAE)発症率はローブレナ群72%に対してザーコリ群56%、ローブレナ群で確認された主なグレード3~4の治療関連有害事象(TRAE)は脂質異常であった。また、治療関連有害事象(TRAE)による治療中止率はローブレナ群7%に対してザーコリ群9%を示した。
以上の第3相試験の結果よりAlice T. Shaw氏らは「全身治療歴のない進行性/転移性ALK陽性非小細胞肺がん患者に対するファーストライン治療としての第3世代ALKチロシンキナーゼ阻害薬ローブレナ単剤療法は、主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)を統計学的有意に改善し、脳転移症例においても抗腫瘍効果を認めた。一方、脂質異常の発現が多く、グレード3~4の治療関連有害事象(TRAE)はローブレナ群で多くの患者で確認された」と結論を述べている。
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