・進行性非小細胞肺がん患者が対象の第3相試験
・オプジーボ+ヤーボイ+化学療法併用療法の有効性・安全性を比較検証
・全生存期間は15.6ヵ月で、化学療法単独群と比べて死亡リスクを34%減少した
2021年1月18日、医学誌『The Lancet Oncology』にて進行性非小細胞肺がん患者に対するファーストライン治療として抗PD-1抗体薬であるオプジーボ(一般名:ニボルマブ、以下オプジーボ)+抗CTLA-4抗体薬であるヤーボイ(一般名:イピリムマブ、以下ヤーボイ)+化学療法の有効性、安全性を比較検証した第3相のCheckMate-9LA試験(NCT03215706)の結果がHospital Universitario 12 de OctubreのLuis Paz-Ares氏らにより公表された。
CheckMate-9LA試験とは、進行性非小細胞肺がん患者(N=719人)にファーストライン治療として、3週毎にオプジーボ360mg+6週毎にヤーボイ1mg/kgに加えて3週毎にプラチナ系抗がん剤のダブレット療法を2サイクル追加投与する群(N=361人)、または化学療法を4サイクル投与し、維持療法としてペメトレキセド単剤療法を投与する群(N=358人)に無作為に振り分け、主要評価項目として全生存期間(OS)、副次評価項目として無増悪生存期間(PFS)、客観的奏効率(ORR)などを比較検証した国際多施設共同オープンラベルの第3相試験である。
本試験が開始された背景として、進行性非小細胞肺がん患者に対するファーストライン治療としての抗PD-1抗体薬オプジーボ+抗CTLA-4抗体薬ヤーボイ併用療法は、化学療法に比べて全生存期間(OS)を改善する効果が示されている。そこで、オプジーボ+ヤーボイ併用療法に化学療法を2サイクル上乗せした場合、更なる臨床的改善効果があるのかどうかを検証する目的でCheckMate-9LA試験が開始された。
本試験のフォローアップ期間中央値13.2ヵ月(IQR:6.4~17.0ヵ月)時点における結果は下記の通りである。主要評価項目である全生存期間(OS)中央値はオプジーボ+ヤーボイ+化学療法群の15.6ヵ月(95%信頼区間:13.9~20.0ヵ月)に対して化学療法群で10.9ヵ月(95%信頼区間:9.5~12.6ヵ月)と、オプジーボ+ヤーボイ+化学療法群で死亡(OS)のリスクが34%減少(HR:0.66、95%信頼区間:0.55~0.80)した。
一方の安全性として、最も多くの患者で確認されているグレード3~4の治療関連有害事象(TRAE)発症率は下記の通り。好中球減少症はオプジーボ+ヤーボイ+化学療法群7%に対して化学療法群9%、貧血はオプジーボ+ヤーボイ+化学療法群6%に対して化学療法群14%、下痢はオプジーボ+ヤーボイ+化学療法群4%に対して化学療法群1%、リパーゼ増加はオプジーボ+ヤーボイ+化学療法群5%に対して化学療法群1%、無力症はオプジーボ+ヤーボイ+化学療法群1%に対して化学療法群2%であった。
以上のCheckMate-9LA試験の結果よりLuis Paz-Ares氏らは「進行性非小細胞肺がん患者に対するファーストライン治療として抗PD-1抗体薬オプジーボ+抗CTLA-4抗体薬ヤーボイ併用療法に化学療法の上乗せは、化学療法単独に比べて全生存期間(OS)を改善しました。これらの結果は新たなファーストライン治療の選択肢として支持するのもになるでしょう」と結論を述べている。
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