・治療歴のあるFGFR2融合遺伝子陽性の進行性/転移性胆管がん患者が対象の第2相試験
・インフィグラチニブ単剤療法の有効性・安全性を検証
・客観的奏効率は23.1%、奏効持続期間5.0ヶ月を示した
2021年1月15日~17日、オンラインミーティングで開催された2021 Gastrointestinal Cancers Symposium(ASCO GI 2021)にて治療歴のあるFGFR2融合遺伝子陽性の進行性/転移性胆管がん患者に対するFGFR選択的チロシンキナーゼ阻害剤であるインフィグラチニブ(BGJ398)単剤療法の有効性、安全性を検証した第2相試験(NCT02150967)の結果がMD Anderson Cancer CenterのMilind Javle氏らにより公表された。
本試験は治療歴のあるFGFR2融合遺伝子陽性の進行性/転移性胆管がん患者に対して28日を1サイクルとして1~21日目にインフィグラチニブ(BGJ398)125mgを単剤投与し、病勢進行または予期せぬ有害事象(AE)が発現するまで継続。主要評価項目として独立評価委員会判定による客観的奏効率(ORR)、副次評価項目として無増悪生存期間(PFS) 、病勢コントロール率(DCR)、全生存期間(OS)、安全性を検証した第2相試験である。
進行性/転移性胆管がんにおけるファーストラインの標準治療はゲムシタビンベースの化学療法であるが、病勢進行を示した患者の治療選択肢は非常に限られている。また、胆管がん患者の約13~17%はFGFR2融合遺伝子陽性である。以上の背景より、治療歴のあるFGFR2融合遺伝子陽性の進行性/転移性胆管がん患者に対するFGFR選択的チロシンキナーゼ阻害剤インフィグラチニブ(BGJ398)単剤療法の有用性を検証する目的で本試験が開始された。
本試験に登録された108人の患者背景は下記の通りである。FGFR2融合遺伝子陽性率は77%(N=83人)。年齢中央値は53歳(23~81歳)。前治療歴は2レジメンが54%。以上の背景を有する患者に対する本試験のフォローアップ期間中央値10.6ヶ月(1.1~55.9ヶ月)時点の結果は下記の通りである。
主要評価項目である独立評価委員会判定による客観的奏効率(ORR)は23.1%(95%信頼区間:15.6~32.2%)、奏効の内訳は完全奏効(CR)1人、部分奏効(PR)24人であった。副次評価項目である奏効持続期間(DOR)中央値は5.0ヶ月(95%信頼区間:0.9~19.1ヶ月)、無増悪生存期間(PFS) 中央値は7.3ヶ月(95%信頼区間:5.6~7.6ヶ月)を示した。
一方の安全性として、最も多くの患者で確認された全グレードの治療関連有害事象(TRAE)は下記の通りである。高リン血症76.9%、眼障害67.6%、口内炎54.6%、倦怠感39.8%。 グレード3/4の治療関連有害事象(TRAE)は口内炎14.8%、低ナトリウム血症13.0%、低リン血症13.0%を示した。
以上の第2相試験の結果よりMilind Javle氏らは「治療歴のあるFGFR2融合遺伝子陽性の進行性/転移性胆管がん患者に対するFGFR選択的チロシンキナーゼ阻害剤インフィグラチニブ(BGJ398)単剤療法は、臨床で期待のできる抗腫瘍効果を示し、発現した有害事象(AE)は管理可能な内容でした」と結論を述べている。
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