・肺がん、甲状腺がん以外のRET融合遺伝子陽性の局所進行性/転移性固形がん患者が対象の第1/2相試験
・Selpercatinib(セルペルカチニブ)単剤療法の有効性・安全性を検証
・客観的奏効率47%、奏効までの期間は1.9ヶ月を示した
2021年4月9日~14日、オンラインミーティングで開催された米国癌研究会(AACR 2021)にて、肺がん、甲状腺がん以外のRET融合遺伝子陽性の局所進行性/転移性固形がん患者に対するRET阻害薬であるSelpercatinib(セルペルカチニブ:LOXO-292)単剤療法の有効性、安全性を検証した第1/2相のLIBRETTO-001試験(NCT03157128)の結果がMD Anderson Cancer CenterのVivek Subbiah氏らにより公表された。
LIBRETTO-001試験とは、肺がん、甲状腺がん以外のRET融合遺伝子陽性の局所進行性/転移性固形がん患者に対して1日2回Selpercatinib(LOXO-292)160mg単剤療法を投与し、主要評価項目として客観的奏効率(ORR)、副次評価項目として奏効持続期間(DOR)、奏効までの期間の中央値(TTR)、安全性などを検証した国際多施設共同の第1/2相試験である。
本試験が開始された背景として、RET阻害薬であるSelpercatinib(LOXO-292)はRET融合遺伝子陽性の肺がん、甲状腺がんの適応で各国で承認されている。しかしながら、RET融合遺伝子陽性は肺がん、甲状腺がん以外の複数のがん種でも確認されている。以上の背景より、RET融合遺伝子陽性の局所進行性/転移性固形がん患者に対するRET阻害薬Selpercatinib(LOXO-292)単剤療法の有用性を検証する目的で本試験が開始された。
本試験に登録された32人の患者背景は下記の通りである。がん種は膵がん9人、結腸がん9人、乳がん2人、唾液腺がん2人、肉腫2人など。年齢中央値は48歳(22~85歳)。前治療歴中央値は2レジメン(0~9レジメン)。以上の背景を有する患者に対する本試験の結果は下記の通りである。
主要評価項目である客観的奏効率(ORR)は47%(95%信頼区間:29%-65%、N=15/32人)を示し、結腸、膵臓、カルチノイド、小腸、唾液、黄色肉芽腫、乳房、卵巣、肉腫を含む9つのがん種で観察され、この内の5人の患者は16週間以上の病勢安定(SD)を示した。副次評価項目である奏効までの期間の中央値(TTR)は1.9ヶ月、奏効持続期間(DOR)中央値は未到達であった。
一方の安全性として、Selpercatinib(LOXO-292)は有害事象(AE)は既存の臨床試験で確認されている安全性プロファイルと一致しており、本試験で新たに確認された有害事象(AE)はなかった。
以上のLIBRETTO-001試験の結果よりVivek Subbiah氏らは「肺がん、甲状腺がん以外のRET融合遺伝子陽性の局所進行性/転移性固形がん患者に対するRET阻害薬Selpercatinib(LOXO-292)単剤療法は、良好な抗腫瘍効果を示しました。現在進行中のLIBRETTO-001試験において引き続き検討します」と結論を述べている。
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