・ミスマッチ修復機構の欠損のない(pMMR)進行性/難治性大腸がん患者が対象の第1b相試験
・マルチキナーゼ阻害薬スチバーガ+抗PD-1抗体薬併用療法の有効性・安全性を検証
・部分奏効率(PR)8%、病勢安定率(SD)55%を示した
2021年6月31日~7月3日、欧州臨床腫瘍学会世界消化器癌会議(ESMO 23rd World Congress on Gastrointestinal Cancer)にてミスマッチ修復機構の欠損のない(proficient mismatch repair: pMMR)進行性/難治性大腸がん患者に対するマルチキナーゼ阻害薬であるスチバーガ(一般名:レゴラフェニブ、以下スチバーガ)+抗PD-1抗体薬であるオプジーボ(一般名:ニボルマブ、以下オプジーボ)併用療法の安全性、有効性を検証した第1b相試験(NCT03712943)の最終解析の結果がMoffitt Cancer CenterのR. Kim氏らにより公表された。
本試験は、ミスマッチ修復機構の欠損のない(pMMR)進行性/難治性大腸がん患者(N=52人)に対して2週を1サイクルとしてスチバーガ80mg+オプジーボ240mg併用投与し、主要評価項目として奏効率(RR)、副次評価項目として無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、安全性を検証した第1b相試験である。
本試験が開始された背景として、基礎試験にてVEGFRを標的にする治療法は免疫チェックポイント阻害薬と相乗効果があることが確認されいる。VEGFRをはじめマルチキナーゼ阻害薬であるスチバーガは免疫抑制マクロファージの浸潤を減らし、免疫チェックポイントと併用することで相乗効果がある可能性が示唆されている。以上の背景より、ミスマッチ修復機構の欠損のない(pMMR)進行性/難治性大腸がんに対するマルチキナーゼ阻害薬スチバーガ+抗PD-1抗体薬オプジーボ併用療法の有用性を確認する目的で本試験が開始された。
本試験に登録された患者の年齢中央値は56歳(31~79歳)。前治療歴中央値は2レジメン(2~3レジメン)。原発巣は結腸38人、直腸14人。転移部位は肝臓14人、肺9人、両方24人。RAS遺伝子ステータスは野生型15人、変異型37人(KRAS:36人、NRAS:1人)。以上の背景を有する患者に対する本試験の結果は下記の通りである。
本試験の結果、評価可能であった40人の患者における主要評価項目である奏効率(RR)は部分奏効率(PR)8%(N=3人)、病勢安定率(SD)55%(N=22人)を示した。副次評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値は4.3ヶ月(95%信頼区間:1.6~7.0ヶ月)、全生存期間(OS)中央値は11.1ヶ月(95%信頼区間:8.2~14.0ヶ月)を示した。
一方の安全性として、最も多くの患者で確認されたグレード3~4の治療関連有害事象(TRAE)は高血圧15%、リンパ球減少症12%、皮膚障害10%を示した。
以上の第1B相試験の結果よりR. Kim氏らは「ミスマッチ修復機構の欠損のない(pMMR)進行性/難治性大腸がん患者に対するマルチキナーゼ阻害薬スチバーガ+抗PD-1抗体薬オプジーボ併用療法は、適度な抗腫瘍効果を示しました。現在、潜在的な予測バイオマーカーに関連する研究も行われています」と述べている。
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