・局所進行性切除不能/転移性消化管間質腫瘍(GIST)患者が対象の第3相試験
・3次治療以降のアバプリチニブ単剤療法の有効性・安全性をレゴラフェニブ単剤療法と比較検証
・アバプリチニブ群の無増悪生存期間は4.2ヶ月で、レゴラフェニブ群の5.6ヶ月に対して有意差は認められなかった
2021年8月3日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にて局所進行性切除不能/転移性消化管間質腫瘍(GIST)に対する3次治療以降のアバプリチニブ単剤療法のの有効性、安全性をレゴラフェニブ単剤療法と比較検証した第3相のVOYAGER試験(NCT03465722)の結果がUniversity of Ulsan College of MedicineのYoon-Koo Kang氏らにより公表された。
VOYAGER試験は、局所進行性切除不能/転移性消化管間質腫瘍(GIST)患者(N=476人)に対する3次治療以降の治療法として1日1回アバプリチニブ300mg単剤を4週間投与する群(N=240人)、または1日1回レゴラフェニブ160mg単剤を3週間投与し、1週間休薬する群(N=236人)に1対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として無増悪生存期間(PFS)、副次評価項目として客観的奏効率(ORR)、全生存期間(OS)、安全性、病勢コントロール率、奏効持続期間(DOR)を比較検証した第3相試験である。
本試験の結果、主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)はアバプリチニブ単剤群4.2ヶ月に対してレゴラフェニブ単剤群5.6ヶ月、両群間で統計学的有意な差は確認されなかった(HR:1.25、95%信頼区間:0.99-1.57、P=0.055)。副次評価項目である全生存期間(OS)はデータが未成熟であった。
客観的奏効率(ORR)はアバプリチニブ単剤群17.1%に対してレゴラフェニブ単剤群7.2%、奏効持続期間(DOR)中央値はアバプリチニブ単剤群7.6ヶ月に対してレゴラフェニブ単剤群9.4ヶ月、病勢コントロール率(DCR)はアバプリチニブ単剤群41.7%(95%信頼区間:35.4%-48.2%)に対してレゴラフェニブ単剤群46.2%(95%信頼区間:39.7%-52.8%)を示した。
一方の安全性として、全グレードの治療関連有害事象(TRAE)発症率はアバプリチニブ単剤群92.5%に対してレゴラフェニブ単剤群96.2%、グレード3以上の治療関連有害事象(TRAE)発症率はアバプリチニブ単剤群55.2%に対してレゴラフェニブ単剤群57.7%で、同等であった。
以上のVOYAGER試験の結果よりYoon-Koo Kang氏らは「局所進行性切除不能/転移性消化管間質腫瘍(GIST)に対する3次治療以降のアバプリチニブ単剤療法は、レゴラフェニブ単剤療法に比べて無増悪生存期間(PFS)の優越性を示すことができませんでした」と結論を述べている。
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