・HER2陽性の切除不能/転移性乳がん患者が対象の第3相試験
・二次治療としてのエンハーツ単剤療法の有効性・安全性をT-DM1と比較検証
・無増悪生存期間はエンハーツ単剤群で統計学的有意な改善を示し、
全生存期間においても改善の傾向がみられた
2021年8月9日、英アストラゼネカ社/第一三共株式会社のプレスリリースにて、HER2陽性の切除不能/転移性乳がん患者に対する二次治療としてのHER2に対する抗体薬物複合体(ADC)であるエンハーツ(一般名:トラスツズマブ デルクステカン:DS-8201、以下エンハーツ)の有効性、安全性を比較検証した第3相のDESTINY-Breast03試験(NCT03529110)の中間解析で主要評価項目を達成したことが公表された。
DESTINY-Breast03試験は、トラスツズマブとタキサン系抗がん剤による前治療歴のあるHER2陽性の切除不能/転移性乳がん患者に対する二次治療としてエンハーツ5.4mg/kg単剤療法を投与する群、またはT-DM1単剤療法を投与する群に無作為に振り分け、主要評価項目として盲検下独立中央評価(BICR)による無増悪生存期間(PFS)、副次評価項目として全生存期間(OS)、客観的奏効率(ORR)、奏効持続期間(DOR)、臨床的ベネフィット率(CBR)などを比較検証した国際多施設共同オープンラベルの第3相試験である。
本試験の中間解析の結果、主要評価項目である盲検下独立中央評価(BICR)による無増悪生存期間(PFS)はT-DM1単剤群に比べてエンハーツ単剤群で統計学的有意な改善傾向を示すことが確認された。また、副次評価項目である全生存期間(OS)においてもT-DM1単剤群に比べてエンハーツ単剤群で改善する傾向が確認されたが、データはまだ未成熟であったという。
一方の安全性は、既存の臨床試験で確認されているエンハーツの安全性プロファイルと一致しており、本試験で新たに確認された有害事象(AE)はなかった。また、グレード4~5の治療関連有害事象(TRAE)としての肺関連有害事象(AE)も確認されなかった。
以上のDESTINY-Breast03試験の中間解析結果を受け、第一三共の竹内健氏は「DESTINY-Breast03試験は、HER2陽性の切除不能/転移性乳がん患者に対する二次治療の標準治療であるT-DM1に対して直接比較した試験デザインを組んだ初の第3相試験です。HER2に対する抗体薬物複合体(ADC)であるエンハーツは本疾患の治療を改善し、最終的には早期ラインでの新しい標準治療になり得ることを期待しております」と述べている。
また、アストラゼネカ社のSusan Galbraith氏は「HER2陽性の切除不能/転移性乳がんの患者さんは、初期治療として標準治療を行っても病勢進行することが多く、新たな治療選択肢が求められています。今回の無増悪生存期間の結果はT-DM1に対するエンハーツの優位性を示すものであり、より早期から患者さんに恩恵をもたらすでしょう」と語っている。
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