・高リスクのくすぶり型多発性骨髄腫患者が対象の第2相試験
・導入療法としてカイプロリス+レナリドミド+デキサメタゾン併用療法後、
維持療法としてのレナリドミド単剤療法の有効性・安全性を比較検証
・微小残存病変陰性の完全寛解率は70.4%、持続期間は5.5ヶ月であった
2021年9月16日、医学誌『JAMA Oncology』にて高リスクのくすぶり型多発性骨髄腫患者に対する導入療法としてのプロテアソーム阻害薬であるカイプロリス(一般名:カルフィルゾミブ、以下カイプロリス)+レナリドミド+デキサメタゾン併用療法、維持療法としてのレナリドミド単剤療法の有効性、安全性を検証した第2相試験(NCT01572480)の結果がNational Institutes of Health, Bethesda, MarylandのDickran Kazandjian氏らにより公表された。
本試験は、高リスクのくすぶり型多発性骨髄腫患者(N=54人)に対して4週を1サイクルとしてカイプロリス36mg/m2+1~21日目にレナリドミド25mg+デキサメタゾン10~20mg併用療法を8サイクル実施後、維持療法として1~21日目にレナリドミド10mg単剤を投与し、主要評価項目として微小残存病変(MRD)陰性の完全寛解率(CR)、副次評価項目として微小残存病変(MRD)陰性の完全寛解(CR)持続期間を検証したシングルアームの第2相試験である。
本試験に登録された54人の患者の年齡中央値は59歳(40~79歳)。性別は男性55.6%(N=30人)。人種は白人66.7%(N=36人)、黒人27.8%(N=15人)、アジア人3.7%(N=2人)、ヒスパニック系1.9%(N=1人)。以上の背景を有する患者に対する本試験の結果は下記の通りである。
主要評価項目である微小残存病変(MRD)陰性の完全寛解率(CR)は70.4%(95%信頼区間:56.4~82.0%)を示した。副次評価項目である微小残存病変(MRD)陰性の完全寛解(CR)持続期間中央値は5.5年(95%信頼区間:3.7年~未到達)を示した。
一方の安全性として、グレード3の非血液関連有害事象(AE)発症率は38.9%(N=21人)で発生し、その内容は血栓塞栓症、発疹、肺感染症であった。なお、グレード4の非血液関連有害事象(AE)は確認されなかった。
以上の第2相試験の結果よりDickran Kazandjian氏らは「高リスクのくすぶり型多発性骨髄腫患者に対する導入療法としてのプロテアソーム阻害薬カイプロリス+レナリドミド+デキサメタゾン併用療法は、維持療法としてレナリドミド単剤療法は、症候性多発性骨髄腫へ進展を抑制させる可能性が示唆されました」と結論を述べている。
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