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HER2陽性の進行性非小細胞肺がんに対する抗体薬物複合体エンハーツ単剤療法、客観的奏効率54.9%を示すー英アストラゼネカ社ー

  • [公開日]2021.10.05
  • [最終更新日]2021.10.04
この記事の3つのポイント
HER2陽性の進行性非小細胞肺がん患者が対象の第2相試験
・エンハーツ単剤療法有効性安全性を検証
・客観的奏効率は54.9%を示し、うち完全奏効率は1.1%を示した

2021年9月18日、英アストラゼネカ社のプレスリリースにて、HER2陽性の進行性非小細胞肺がん(NSCLC)患者に対する抗HER2抗体薬物複合体エンハーツ(一般名:トラスツズマブ デルクステカン、開発コード:DS-8201、以下エンハーツ)単剤療法の有効性、安全性を検証した第2相のDESTINY−Lung01試験(NCT03505710)の結果が発表された。なお、同結果は9月23日~26日にバーチャルで開催された欧州臨床腫瘍学会(ESMO2021)ならびに医学誌『The New England Journal of Medicine』でも公表された。

DESTINY-Lung01試験は、HER2陽性の進行性非小細胞肺がん(NSCLC)患者(N=91人)に対して3週を1サイクルとしてエンハーツ6.4mg/kg単剤療法を投与し、主要評価項目として客観的奏効率(ORR)、副次評価項目として奏効持続期間(DOR)、病勢コントロール率DCR)、無増悪生存期間PFS)、全生存期間OS)を検証した国際多施設共同オープンラベルの第2相試験である。

主要評価項目である客観的奏効率(ORR)は54.9%(95%信頼区間:44.2~65.4%)であり、奏効の内訳は完全奏効率(CR)が1.1%、部分奏効率(PR)が53.8%、病勢安定率(SD)が37.4%を示した。副次評価項目である病勢コントロール率(DCR)は92.3%(95%信頼区間:84.8~96.9%)を示した。奏効持続期間(DOR)中央値は9.3ヶ月(95%信頼区間:5.7~14.7ヶ月)、無増悪生存期間(PFS)中央値は8.2ヶ月(95%信頼区間:6.0~11.9ヶ月)、全生存期間(OS)中央値は17.8ヶ月(95%信頼区間:13.8~22.1ヶ月)を示した。

一方の安全性として、既存の臨床試験で確認されているエンハーツの安全性プロファイルは一致していた。最も多くの患者で確認されたグレード3以上の治療関連有害事象(TRAE)発症率は好中球減少症18.7%、貧血9.9%を示した。間質性肺炎は24人の患者で確認され、発症した大半の患者はグレード1もしくはグレード2であった。

以上のDESTINY-Lung01試験の結果より筆頭著者であるMemorial Sloan Kettering Cancer CenterのBob Li氏は「HER2陽性の進行性非小細胞肺がん(NSCLC)の臨床研究は20年以上も続いておりますが、依然として新規に承認されたHER2を標的にした治療薬は存在しません。しかしながら、本試験で抗HER2抗体薬物複合体エンハーツは良好な抗腫瘍効果を示し、新規の標準治療になり得る可能性を示唆しました」と結論を述べている。

Enhertu demonstrated robust and durable tumour response of 54.9% in patients with HER2-mutant metastatic non-small cell lung cancer(AstraZeneca Press Releases)

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