・標準治療の適応がない進行性固形がん患者が対象の第1相試験
・Evorpacept(ALX148)±キイトルーダ/ハーセプチンの有効性・安全性を比較検証
・客観的奏効率はEvorpacept+キイトルーダ併用群の頭頸部扁平上皮がん患者で20.0%、
非小細胞肺がん患者で5.0%、Evorpacept+ハーセプチン併用群の胃がん患者で21.1%を示した
2021年11月15日、医学誌『The Lancet Oncology』にて標準治療の適応がない進行性固形がん患者に対するEvorpacept(エボルパセプト:ALX148)+抗PD-1抗体薬キイトルーダ(一般名:ペムブロリズマブ、以下キイトルーダ)もしくは抗HER2抗体薬であるハーセプチン(一般名:トラスツズマブ、以下ハーセプチン)併用療法の有効性、安全性を検証した第1相試験(NCT03013218)の結果がEast Grand RapidsのNehal J Lakhani氏らにより公表された。
本試験は、標準治療の適応がない進行性固形がん患者(N=110人)に対して21日を1サイクルとしてEvorpacept(ALX148)0.3、1、3、10mg/kg、28日を1サイクルとしてEvorpacept(ALX148)30mg/kg単剤療法を投与する群(N=8人)、3週を1サイクルとしてEvorpacept(ALX148)+キイトルーダ200mg併用療法を実施する群(N=52人)、3週を1サイクルとしてEvorpacept(ALX148)+ハーセプチン6mg/kg(初回8mg/kg)併用療法を実施する群(N=30人)に無作為に振り分け、主要評価項目として最大耐用量(MTD)、安全性を検証したオープンラベルの第1相試験である。
本試験の結果は下記の通りである。用量制限毒性(DLT)を発生した患者はEvorpacept(ALX148)単剤群で7%(N=2/28人)であり、その内訳は好中球減少症、血小板減少症であった。最も多くの患者で確認されたグレード3以上の治療関連有害事象(TRAE)は、血小板減少がEvorpacept(ALX148)単剤群で7%、Evorpacept(ALX148)+キイトルーダ併用群で4%であり、Evorpacept(ALX148)+ハーセプチン併用群では血小板減少が7%、好中球減少症が7%を示した。
一方の有効性として、客観的奏効率(ORR)は、Evorpacept(ALX148)+キイトルーダ併用療法の治療を受けた頭頸部扁平上皮がん患者(N=20人)で20.0%(95%信頼区間:5.7%~43.7%)、非小細胞肺がん患者(N=20人)で5.0%(95%信頼区間:0.1%~24.9%)であり、Evorpacept(ALX148)+ハーセプチン併用療法を受けた胃がん患者(N=19人)で21.1%(95%信頼区間:6.1%~45.6%)を示した。
以上の第1相試験の結果よりNehal J Lakhani氏らは「標準治療の適応がない進行性固形がん患者に対するEvorpacept(ALX148)+抗PD-1抗体薬キイトルーダもしくは抗HER2抗体薬ハーセプチン併用療法の安全性は良好でした」と結論を述べている。
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