・HER2陽性ホルモン受容体陰性の早期乳がん患者が対象の第2相試験
・ペルツズマブ+トラスツズマブ±パクリタキセル併用療法の有効性・安全性を比較検証
・5年無浸潤疾患生存率(iDFS)はペルツズマブ+トラスツズマブ+パクリタキセル併用群で98%であり、
病理学的完全反応との関連性を認めた
4月8日、医学誌『The Lancet Oncology』にてHER2陽性ホルモン受容体陰性の早期乳がん患者に対する術前化学療法としての抗HER2モノクローナル抗体ペルツズマブ+トラスツズマブ±パクリタキセル併用療法の有効性、安全性を検証した第2相のADAPT試験(NCT01817452)の結果がEv Hospital BethesdaのUlrike Nitz氏らにより公表された。
ADAPT試験は、HER2陽性ホルモン受容体陰性の早期乳がん患者(N=134人)に対して3週を1サイクルとしてトラスツズマブ6mg/kg(初回8mg/kg)+ペルツズマブ420mg(初回840mg)併用療法を12週間実施する群(N=92人)、もしくは3週を1サイクルとしてトラスツズマブ6mg/kg(初回8mg/kg)+ペルツズマブ420mg(初回840mg)+1週を1サイクルとしてパクリタキセル80mg/m2併用療法を12週間実施する群(N=42人)に分け、主要評価項目として病理学的完全反応率(pCR)、副次評価項目として5年無浸潤疾患生存期間(iDFS)、5年無再発生存期間(RFS)、5年局所無再発生存期間(locoregional RFS)、5年遠隔転移生存期間(distant DFS)、5年全生存期間(OS)などを検証した多施設共同オープンラベルの第2相試験である。
本試験のフォローアップ期間中央値59.9ヶ月時点における結果は下記の通りである。副次評価項目である5年無浸潤疾患生存期間(iDFS)、5年無再発生存期間(RFS)、5年局所無再発生存期間(locoregional RFS)、5年遠隔転移生存期間(distant DFS)、5年全生存期間(OS)は、両群間で統計学的に有意な差は確認されなかった。
5年無浸潤疾患生存率(iDFS)は、ペルツズマブ+トラスツズマブ+パクリタキセル併用群の98%(95%信頼区間:84–100%)に対してペルツズマブ+トラスツズマブ併用群で87%(95%信頼区間:78–93%)を示した(HR:0.32、95%信頼区間:0.07-1.49、P=0.15)。
5年無再発生存率(RFS)は、ペルツズマブ+トラスツズマブ+パクリタキセル併用群の98% (95%信頼区間:84–100%)に対してペルツズマブ+トラスツズマブ併用群で89% (95%信頼区間:79–94%)を示した(HR:0.41、95%信頼区間:0.09-1.91、P=0.25)。
5年局所無再発生存率(locoregional RFS)は、ペルツズマブ+トラスツズマブ+パクリタキセル併用群の100%(95%信頼区間:評価不能)に対してペルツズマブ+トラスツズマブ併用群で95%(95%信頼区間:88–98%)を示した(HR:0.41、95%信頼区間:0.05-3.75、P=0.43)。
5年遠隔転移生存率(distant DFS)は、ペルツズマブ+トラスツズマブ+パクリタキセル併用群の98%(95%信頼区間:84-100%)に対してパージェタ+トラスツズマブ併用群で92%(95%信頼区間:83–96%)を示した(HR:0.35、95%信頼区間:0.04-3.12、P=0.36)。
5年全生存率(OS)は、ペルツズマブ+トラスツズマブ+パクリタキセル併用群の98%(95%信頼区間:84-100%)に対してペルツズマブ+トラスツズマブ併用群で94%(95%信頼区間:86–97%)を示した(HR:0.41、95%信頼区間:0.05-3.63、P=0.43)。
また、病理学的完全反応(pCR)は無浸潤疾患生存期間(iDFS)に関係していることが本試験で示された(HR:0.14、95%信頼区間:0.03-0.64、P=0.011)。
以上のADAPT試験の長期フォローアップの結果よりUlrike Nitz氏らは「HER2陽性ホルモン受容体陰性の早期乳がん患者に対する術前化学療法としての抗HER2モノクローナル抗体ペルツズマブ+トラスツズマブ±パクリタキセル併用療法は良好な生存期間の改善を示し、化学療法の有無に関わらず病理学的完全反応(pCR)を達成した患者では無浸潤疾患生存期間(iDFS)を改善することが示されました」と結論を述べている。
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