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ALK陽性非小細胞肺がんの治療薬アレセンサ、アジア人でも1日2回600mgが標準用量であることが示唆される欧州臨床腫瘍学会アジア会議より

  • [公開日]2017.11.28
  • [最終更新日]2017.11.28

2017年11月17日から19日までシンガポールで開催されている欧州臨床腫瘍学会アジア会議(ESMO ASIA)2017にて、ALK陽性非小細胞肺がん患者に対するアレクチニブ(商品名アレセンサ)の有効性を検証したALEX試験(NCT02075840)のアジア人患者におけるサブグループ解析の結果が発表された。

ALEX試験とは、ALK陽性非小細胞肺がん患者(N=303人)に対して1日2回アレセンサ600mg単剤療法を投与する群、または1日2回クリゾチニブ250mg(商品名ザーコリ)単剤療法を投与する群に1:1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)を比較検証した第III相の試験である。

本試験の結果、主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)はザーコリ投与群よりもアレセンサ投与群で有意に改善することが証明された。また、日本人ALK陽性非小細胞肺がん患者に対しても1日2回アレセンサ300mg単剤療法を投与することで無増悪生存期間(PFS)を有意に改善することがJ-ALEX試験で証明された。

以上の背景より、本サブグループ解析ではALEX試験で1日2回アレセンサ600mg単剤療法を投与した患者をアジア人、非アジア人の2群に分けて主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)、奏効率(RR)などを比較検証した。つまり、アジア人に対する1日2回アレセンサ300mgでなく1日2回アレセンサ600mgの有効性、安全性を検証することを目的としたサブグループ解析である。

なお、本サブグループ解析の特徴としては脳転移の有無に関係なく全ての患者に対して6ヶ月ごとにMRIを実施し、脳内の無増悪期間(TTP)も検証している点である。

本サブグループ解析の結果、1日2回アレセンサ600mg単剤療法は非アジア人同様にアジア人においても同等の有効性、安全性が証明された。例えば、無増悪生存期間(PFS)中央値はザーコリ群よりもアレセンサ群においてアジア人(ハザードリスク比0.46)、非アジア人(ハザードリスク比0.49)で延長した。

また、脳内の無増悪期間(TTP)中央値もザーコリ群よりもアレセンサ群においてアジア人(ハザードリスク比0.21)、非アジア人(ハザードリスク比0.16)で延長した。奏効率(RR)はアレセンサ群81.2%、ザーコリ群76.8%、アジア人、非アジア人の奏効率(RR)はそれぞれ84.3%、74.4%であった。

一方の安全性としては、吐気、嘔吐、グレード3以上の有害事象(AE)発症率はアレセンサ群よりもザーゴリ群で多く発症が確認された。なお、有害事象(AE)に関してアジア人、非アジア人においては特異的な差は確認されなかったが、肝毒性に関しては非アジア人よりもアジア人の方が発症率が高いことが確認された。

以上のALEX試験サブグループ解析の結果を受けて、本発表のリードオーサーである香港中文大学・臨床腫瘍部門・Tony S.K. Mok氏は以下のように述べている。”ALEX試験のサブグループ解析で証明された無増悪生存期間(PFS)、無増悪期間(TTP)、奏効率(RR)の結果より、1日2回のアレセンサ600mgはアジア人でも非アジア人でも同様の効果が確認されました。また、有害事象(AE)発症率も許容範囲内です。本サブグループ解析より得られた知見より、アジア人に対しても1日2回のアレセンサ600mgが標準容量として設定されるべきでしょう。”

ALEX study shows alectinib 600 mg more effective than crizotinib in Asian lung cancer patients(ESMO Asia 2017 Press Release, Abstract 410O_PR)

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