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小児ハイグレード膠芽腫(グリオブラストーマ)に対する放射線療法+テモダール+アバスチン併用療法、無イベント生存期間(EFS)を改善しない医学誌『Journal of Clinical Oncology』より

  • [公開日]2018.02.21
  • [最終更新日]2018.02.21

2018年2月7日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にて新規にハイグレード膠芽腫(グリオブラストーマ)と診断された小児患者に対するテモゾロミド(商品名テモダール;以下テモダール)+ 放射線療法に対してベバシズマブ(商品名アバスチン;以下アバスチン)追加療法の有効性を検証した第II相のHERBY試験(NCT01390948)の結果がInstitut Gustave-Roussy・Jacques Grill氏らにより公表された。

HERBY試験とは、ハイグレード膠芽腫(グリオブラストーマ)と新規に診断された3歳以上18歳以下の患者(N=121人)に対して1週間に5回1.8Gyの放射線療法+1日1回連日テモダール75 mg/m2を6週間投与した後4週間休薬、その後28日を1サイクルとして初回1サイクル目は1日1回テモダール150mg/m2を5日間連日投与し2日間休薬、2サイクルから12サイクル目は1日1回テモダール200mg/m2を5日間連日投与し2日間休薬+2週間に1回アバスチン10mg/kgを投与する群(N=59人)、投与しない群(N=62人)に無作為に振り分け、主要評価項目として無イベント生存期間(EFS)、副次評価項目として1年全生存率(OS)、完全奏効(CR)+部分奏効(PR)として定義された客観的奏効率ORR)などを比較検証した多施設共同オープンラベルの第II相試験である。

本試験に登録された患者背景は下記の通りである。年齢中央値11.0歳(アバスチン併用群10.0歳/アバスチン非併用群11.0歳)、悪性グレードIII(N=37人,20人/17人)グレードIV(N=84人,42人/42人)、(G34R/V 変異患者(N=7人,2人/5人)、K27M変異患者(N=24人,14人/10人)。

上記背景を有する患者に対する本試験の結果、主要評価項目である無イベント生存期間(EFS)中央値は放射線療法+テモダール併用療法を投与する群11.8ヶ月(95%信頼区間:7.9-16.4ヶ月)に対して放射線療法+テモダール+アバスチン併用療法8.2ヶ月(95%信頼区間:7.8-12.7ヶ月)、アバスチンを併用することでイベント発症のリスクが44%増加(ハザードリスク比:1.44,P=0.13)し、両群間に統計学的有意な差は確認されなかった。

また副次評価項目である1年全生存率(OS)は放射線療法+テモダール併用療法を投与する群68%(95%信頼区間:54%-78%)に対して放射線療法+テモダール+アバスチン併用療法75%(95%信頼区間:61%-84%)。客観的奏効率(ORR)は放射線療法+テモダール併用療法を投与する群40%に対して放射線療法+テモダール+アバスチン併用療法42%を示した。

一方の安全性は、既存のアバスチンの安全性プロファイルと一致しており、本試験で新しく確認された有害事象(AE)はなかった。グレード3から5の有害事象(AE)は放射線療法+テモダール併用療法群68%(N=38人)、放射線療法+テモダール+アバスチン併用療法70%(N=42人)とほぼ同様の結果であったが、グレード3から5の特に注目すべき有害事象(AESI)は放射線療法+テモダール併用療法群5%(N=3人)、放射線療法+テモダール+アバスチン併用療法22%(N=13人)であった。なお、グレード3から5の特に注目すべき有害事象(AESI)は下記の通りである。蛋白尿(アバスチン併用群13%/アバスチン非併用群0%)、動脈血栓塞栓症(8%/4%)。

また、本試験中の死亡は放射線療法+テモダール併用療法群50%(N=28人)、放射線療法+テモダール+アバスチン併用療法55%(N=33人)で発症しているが、その原因は1人の患者を除き病勢進行によるものであった。なお、1人患者はグレード4の非定型奇形腫/横紋筋腫によりものである。

HERBY試験の結果よりJacques Grill氏らは以下のように結論を述べている。”小児ハイグレード膠芽腫(グリオブラストーマ)患者さんに対する放射線療法+テモダール+アバスチン併用療法は無イベント生存期間(EFS)を改善しませんでした。本結果は成人における結果が小児では再現できなかったことを証明しました。”

Phase II, Open-Label, Randomized, Multicenter Trial (HERBY) of Bevacizumab in Pediatric Patients With Newly Diagnosed High-Grade Glioma (Journal of Clinical Oncology, DOI: 10.1200/JCO.2017.76.0611 Journal of Clinical Oncology – published online before print February 7, 2018)

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