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Interim PET結果に基づいたアグレッシブ非ホジキンリンパ腫患者に対する治療戦略の変更、無イベント生存率(EFS)を改善しない医学誌『Journal of Clinical Oncology』より

  • [公開日]2018.06.04
  • [最終更新日]2019.12.19
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・第III相のPETAL試験とは、アグレッシブB細胞またはT細胞リンパ腫患者に対してR-CHOP療法後にInterim PETを実施し、陽性患者に対して標準治療であるR-CHOP療法を投与する群または強化治療であるBurkitt療法を投与する群に分けて有効性を比較検証した試験である
・本試験の結果、主要評価項目である2年無イベント生存率(EFS rate)はPET陽性患者に対するR-CHOP療法42.0%に対してBurkitt療法31.6%であった
グレード3または4の治療関連有害事象(TRAE)はR-CHOP療法よりもBurkitt療法の患者群で多く確認され、特に貧血、白血球減少症血小板減少症感染症、粘膜炎の発症が多かった

2018年5月11日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にてアグレッシブ非ホジキンリンパ腫患者に対するInterim PETの有効性を検証した第III相のPETAL試験(NCT00554164)の結果がUniversity Hospital Essen Hufelandstrasse 55・Ulrich Dührsen氏らにより公表された。

PETAL試験とは、濾胞性リンパ腫を含む新規にアグレッシブB細胞またはT細胞リンパ腫と診断された患者(N=862人)に対してR-CHOP療法(リツキシマブ+シクロホスファミド+ドキソルビシンビンクリスチン+プレドニゾロン ※CD20陰性の場合はリツキシマブを投与しない)2サイクル投与後、Interim PETを実施してPET陽性患者に対して標準療法であるR-CHOP療法を6サイクル投与する群(N=52人)、強化療法であるBurkitt療法(シクロホスファミド+ドキソルビシン+ビンクリスチン+メトトレキサート+シタラビン+イホスファミド+エトポシド+ビンデシン+デキサメタゾン)を6サイクル投与する群(N=56人)、PET陰性患者に対してR-CHOP療法を4サイクル投与する群(N=129人)、R-CHOP療法を4サイクル投与後にリツキシマブ2サイクルを投与する群(N=126人)の4群に無作為に振り分け、主要評価項目として無イベント生存率(EFS rate)を比較検証した国際多施設共同の第III相試験である。

本試験に登録された患者背景は下記の通りである。年齢中央値60歳(18-80歳)、60歳以上の患者48.6%(N=419人)。性別は男性56.5%(N=487人)。ECOG Performances Statusはスコア2以上の患者8.9%(N=76人)。節外病変2個以上の患者30.1%(N=258人)。予後因子IPI分類は低リスク38.3%(N=329人)、低中リスク26.1%(N=224人)、高中リスク21.0%(N=180人)、高リスク14.6%(N=125人)。CD20発現率は陽性91.2%(N=786人)、陰性8.8%(N=76人)。

非ホジキンリンパ腫の種類はB細胞リンパ腫85.4%(N=736人)、T細胞リンパ腫8.8%(N=76人)。B細胞リンパ腫の内訳はびまん性大細胞型B細胞リンパ腫82.7%(N=609人)、原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫5.7%(N=42人)、濾胞性リンパ腫(Grade 3)5.7%(N=42人)、その他5.3%(N=43人)。T細胞リンパ腫の内訳はALK陽性未分化大細胞リンパ腫27.6%(N=21人)、ALK陰性未分化大細胞リンパ腫17.1%(N=13人)、血管免疫芽球性T細胞リンパ腫23.7%(N=18人)、末梢性T細胞リンパ腫26.3%(N=20人)、その他5.3%(N=4人)。

上記背景を有する患者に対する本試験の結果は下記の通りである。主要評価項目である2年無イベント生存率(EFS rate)はPET陽性患者(N=108人)に対するR-CHOP療法42.0%(95%信頼区間:28.2%-55.2%)に対してBurkitt療法31.6%(95%信頼区間:19.3%-44.6%)を示した(ハザード比:1.501,95%信頼区間:0.896-2.514,P=0.1229)。また、PET陰性患者(N=197人)に対するR-CHOP療法76.4%(95%信頼区間:68.0%-84.2%)に対してR-CHOP+R療法73.5%(95%信頼区間:64.8%-80.4%)を示した(ハザード比:1.048,95%信頼区間:0.684-1.606,P=0.8305)。

なお、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫患者における2年無イベント生存率(EFS rate)はPET陽性患者(N=63人)に対するR-CHOP療法52.4%(95%信頼区間:33.8%-68.0%)に対してBurkitt療法28.3%(95%信頼区間:13.4%-45.4%)を示した。また、PET陰性患者(N=255人)に対するR-CHOP療法78.9%(95%信頼区間:69.3%-85.9%)に対してR-CHOP+R療法72.6%(95%信頼区間:62.7%-80.3%)を示した。

一方の安全性としては、PET陽性患者に対するR-CHOP療法よりもBurkitt療法でグレード3または4の治療関連有害事象(TRAE)は多く、特に多かったのは下記の通りである。貧血はR-CHOP療法25.0%(N=13人)に対してBurkitt療法44.6%(N=25人,P=0.440)、白血球減少症は59.6%(N=31人)に対して80.4%(N=45人,P=0.216)、血小板減少症は21.2%(N=11人)に対して58.9%(N=33人,P<0.001)、感染症は21.2%(N=11人)に対して50.0%(N=28人,P=0.0024)、粘膜炎は11.5%(N=6人)に対して37.5%(N=21人,P=0.0032)であった。

以上のPETAL試験の結果よりUlrich Dührsen氏らは以下のように結論を述べている。”アグレッシブ非ホジキンリンパ腫患者に対するR-CHOP療法後にInterim PETを実施し、その陽性率に応じて治療を変更する治療戦略は無イベント生存率(EFS rate)を改善せず、治療関連有害事象(TRAE)も増加する傾向が示されました。”

Positron Emission Tomography–Guided Therapy of Aggressive Non-Hodgkin Lymphomas (PETAL): A Multicenter, Randomized Phase III Trial(DOI: 10.1200/JCO.2017.76.8093 Journal of Clinical Oncology – published online before print May 11, 2018)

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