ステージⅣ非小細胞肺がん1次治療
アテゾリズマブ(商品名テセントリク;以下テセントリク)+カルボプラチン/シスプラチン+ペメトレキセドの臨床試験結果
目次
試験デザイン
EGFR及びALK変異陽性を除く化学療法未治療患者に対してテセントリク+カルボプラチン/シスプラチン+ペメトレキセド(4-6サイクル)後、維持治療でテセントリク+ペメトレキセドを病勢進行もしくは臨床的有用性が失効するまで投与群(以下APP群)とカルボプラチン/シスプラチン+ペメトレキセド(4-6サイクル)後、維持治療でペメトレキセドを病勢進行もしくは臨床的有用性が失効するまで投与群(以下PP群)を比較したランダム化比較試験。総患者数は578名、
1:1にランダム化され、APP群に292名、PP群に286名が割付けられた。
評価項目
・主要評価項目:臨床医による無憎悪生存期間と全生存期間の2つ
・副次評価項目:臨床医による奏効率と奏効期間、QOLと安全性評価
・探索的解析:臨床的及びバイオマーカーのサブグループ解析
患者背景
人種
APP群 – 白人系193名(66.1%)、アジア系71名(24.3%)
PP群 – 白人系203名(71.0%)、アジア系65名(22.7%)
カルボプラチン投与人数
APP群 – 177名(60.6%)、PP群 – 175(61.1%)
化学療法4サイクル投与人数
APP群 – 197名(67.5%)、PP群 – 190名(66.4%)
PD-L1発現評価人数
APP群 – 176名、PP群 – 168名
◾️陰性人数
APP群 – 88名(50.0%)、PP群 – 75名(44.6%)
◾️陽性人数
APP群 – 88名(50.0%)、PP群 – 93名(55.4%)
◆PD-L1低発現患者
APP群 – 63名(35.8%)、PP群 – 73名(43.5%)
◆PD-L1 高発現患者
APP群 – 25名(14.2%)、PP群 – 20名(11.9%)
有効性評価
臨床医による無増悪生存期間中央値
APP群 – 7.6ヶ月、PP群 – 5.2ヶ月
40%病勢進行または死亡リスクがAPP群で減少(HR=0.60)
臨床医による奏効率判定
APP群 – 47%(完全奏効:2%、部分奏効:45%)
PP群 – 32%(完全奏効:1%、部分奏効:32%)
臨床医による治療奏効期間
APP群 – 10.1ヶ月、PP群 – 7.2ヶ月
臨床医による治療継続中患者割合
APP群 – 42%、PP群 – 30%
臨床医による暫定的全生存期間
(今後も解析は継続)フォローアップ期間
(観察期間)中央値は14.8ヶ月時点での解析結果
APP群 – 18.1ヶ月、PP群 – 13.6ヶ月
19%死亡リスクがAPP群で減少(HR=0.81)
病勢進行後の治療
◾️1つ以上治療を受けた患者数
APP群 – 94名(32.2%)、
PP群 – 148名(51.7%)
◾️免疫チェックポイント阻害剤を受けた患者数
APP群 – 10名、PP群 – 117名
◆二ボルマブ(商品名オプジーボ)治療を受けた患者数
APP群 – 4名(1.4%)、64名(22.4%)
◆ぺムブロリズマブ(商品名キイトルーダ)治療を受けた患者数
APP群 – 0名、PP群 – 27名(9.4%)
◆テセントリク治療を受けた患者数
APP群 – 2名(0.7%)、PP群10名(3.5%)
◾️化学療法治療を受けた患者数
APP群 – 86名(29.5%)、PP群 – 71名(24.8%)
◾️分子標的治療を受けた患者数
APP群 – 36名(12.3%)、PP群 – 36名(12.6%)
◾️抗血管新生阻害剤治療を受けた患者数
APP群 – 33名(11.3%)、PP群29名(10.1%)
安全性評価の概要
解析対象となった患者数は、APP群291名、PP群274名
治療関連副作用発現
APP群 – 267名(92%)、PP群 – 239名(87%)
◾️グレード3−4の副作用発現
APP群 – 156名(54%)、PP群 – 107名(39%)
◾️グレード5の副作用発現
APP群 – 11名(4%)、PP群 – 7名(3%)
まとめ
・Impower132では、主要評価項目の1つである
無増悪生存期間においてAPP群がPP群に比べ有効性を示すことができた。
(病勢進行または死亡リスクを40%減少)
・安全性評価において、APP群の副作用対応は可能、副作用の内訳についても既知のものであり、この臨床試験で新たな副作用発現は認められていない。
・主要評価項目の1つである全生存期間の解析は暫定的であり、解析を継続する。次回の解析は2019年の上四半期(1-3月)を予定している。
なお、本試験は日本も参加している。
リサーチのお願い
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