・ハーセプチン治療歴のあるHER2陽性進行性胃がんまたは胃食道接合部がん患者が対象の第1相試験
・トラスツズマブ デルクステカン(DS-8201)単剤療法の有効性・安全性を検証
・忍容性に問題はなく、客観的奏効率は43·2%を示した
2019年4月29日、医学誌『The Lancet Oncology』にてトラスツズマブ(商品名ハーセプチン;以下ハーセプチン)治療歴のあるHER2陽性進行性胃がんまたは胃食道接合部がん患者に対するHER2抗体薬物複合体であるトラスツズマブ デルクステカン(DS-8201)単剤療法の有効性、安全性を検証した第1相試験(NCT02564900)の結果が国立がん研究センター 中央病院・乳腺・腫瘍内科・田村研治氏らにより公表された。
本試験は、2015年8月~2018年8月の米国、日本における18歳~20歳以上のハーセプチン治療歴のあるHER2陽性進行性胃がんまたは胃食道接合部がん患者(N=44人)を対象に3週を1サイクルとしてトラスツズマブ デルクステカン5.4mg/kg~6.4mg/kg単剤療法を病勢進行または予期せぬ有害事象(AE)が発現するまで投与し、主要評価項目として治療関連有害事象(TRAE)発症率、奏効率(RR)を検証した国際他施設共同非無作為非盲検下の第1相試験である。
本試験の結果、主要評価項目である治療関連有害事象(TRAE)は全ての患者で少なくとも1つ確認され、最も多くの患者で確認されたグレード3以上の治療関連有害事象(TRAE)としては貧血30%(N=13/44人)、好中球減少20%(N=9/44人)、血小板減少18%(8/44人)、白血球減少16%(N=7/44人)であった。
また、重篤な有害事象(SAE)は25%(N=11人)の患者で確認されたが、治療関連有害事象(TRAE)による死亡は1人の患者でも確認されなかった。もう1つの主要評価項目である客観的奏効率(ORR)43·2%(95%信頼区間:28.3–59.0%,N=19/44人)を示した。
以上の第1相試験の結果より田村研治氏らは以下のように結論を述べている。”ハーセプチン治療歴のあるHER2陽性進行性胃がんまたは胃食道接合部がん患者に対するトラスツズマブ デルクステカン単剤療法は忍容性に問題がなく、良好な抗腫瘍効果を示しました。本治療薬のさらなる有用性を証明するため、第2、第3相試験の結果が待たれます。”
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