こんにちは、オンコロの川上です。
今回は、昨年9月に膵臓がんで亡くなった父の、相続に関する手続きについて書こうと思います。
オンコロの読者は、がん患者さんや、そのご家族も多いと思います。
死が前提の、相続のことなど、あまり考えたくない方は、スルーしてくださいね。
さて、相続税の申告は、亡くなってから10か月以内に行わなくてはなりません。
私たちの場合は今年の7月までになります。
可能な限り外部の専門家に頼らず自分たちで申告手続きを進めたい、というのが母の希望でしたので、まったく知識もないなかでしたが、手探りで、いろいろと寄り道もしながら、なんとか自前で申告できそうなところまできました。
がん患者でなくとも、自分も含め人は必ず、いつか亡くなります。
一方で、人生の中で「相続」と関わる機会はそう何回もあることではなく、これについて学ぶ機会もほぼありませんし、また、話題にのぼることも少ないと思いますので、私の経験が、皆さんが将来「相続」と向き合った際に少しでも参考になれば、と思います。
私の父はサラリーマンで、主な相続財産は、銀行口座の預金、証券会社の有価証券、生命保険、土地と家のみ、というシンプルな構成でした。
家族構成は、母と、兄と私と弟の3人の子。ほかに隠し子はいませんでした(笑)。
父の意向もあり、母がすべての財産を相続することに皆、合意しており、母は、配偶者の相続税特別控除(遺産総額が1億6千万円までは無税)により、続税は発生しない状況でした。
父が亡くなったばかりの頃、証券会社や銀行にその旨伝えると、相続関係の手続きをお任せできるサービスについて案内をいただきました。
それらは、基本料金だけで100万円以上、そのうえ、遺産総額により、手数料が上乗せされていく仕組みで、数百万円の委託費がかかりそうな勢いです・・・。
「相続税じゃないところでそんなにお金がかかるんだ・・」とゲンナリ。
そこから、父が残してくれた財産を大切にしたい、との母の希望もあり、ネットを駆使していろいろ調べ、不動産の登記変更、銀行、証券口座の名義変更と、父の確定申告も、なんとか自分たちで済ませることができました。
ちなみに私が相続関係で準備したのは以下のもので、多少手間はかかりますが、専門家でなくても可能かな、と思いました。
・遺産分割協議書の作成。相続をどのように分けるか、について相続人全員(ウチの場合は母と子3人)で協議し合意したことを証明する書類。
印鑑証明とセットで効力を発揮します。
・父の、生まれてから亡くなるまでの連続した戸籍の取得(父の場合は昭和時代の手書きの戸籍含め4種ありました)。
本籍を置いていたことのある市区町村に請求しました。
これは、相続人を明らかにするために必要なプロセスで、私はこれをもとに、「法定相続関係一覧図」を作成し、法務局の認証をもらっておきました。
この書類は、遺産の名義変更の際に、相続人全員で遺産分割協議書が作成されていることを裏付けるための書類となります。
残るは相続税の申告だけ、というところまで、頑張ってきましたが、税務署からもらった相続税の申告の解説は分厚くて、書類も書き込む欄が多く、かつ手書きで作成していくのはなかなかハードルが高く感じられ、ここは専門家である税理士さんにお願いしたい・・・と検索してみると、相続税申告の税理士さんへの標準的な報酬は最低料金が50万円程度、遺産総額により変動、総額の1%程度が目安、というところまでわかり、ここまでの手続きや申告等で疲れていたこともあり、もうお願いしちゃおうかな、と思っていたところ、素晴らしいサービスを見つけたのです!
「みなと相続コンシェル」さんが無料でサービス提供している、「AI相続」という相続税申告書作成システムです。
Webサイトには「利用者数 日本No.1!」とありますが、ここにたどり着くまでに、ずいぶん時間がかかってしまいました・・・。
こちらのシステムを利用したところ、おかげさまで何とか自力での申告が完了できそうです。
本当に素晴らしいサービスで、無償で提供してくださっている、みなと相続コンシェルさんに感謝です。
将来、自分の死と向き合うことになり、カウントダウンを感じたら、再度こちらを活用させていただき、自分の死後の相続税申告準備を、事前にできるところまで進めておきたいな、と思いました。
ただ、父の場合は遺産構成がシンプルでしたので、こちらで完結することができそうですが、事業を営んでいたり、評価が難しい非上場会社の株式を保有していたり、山林や農地を保有していたり、隠し子がいたりすると・・・、なかなか複雑になりそうですので、そんなときは、やはり専門家の助けを求めた方が良いかもしれません。
今回は、がん領域でネットの情報検索時に起きる、「情報の波に溺れてしまう」状況を、相続というイベントで私も体感したので書いてみました。
いつか、皆さんが相続と向き合うことになったときにお役に立てば幸いです。
お読みいただき、ありがとうございました。
川上 祥子