子宮頸がんのステージ
子宮頸がん診断後、コルポ診、膀胱鏡や直腸鏡などの検査結果、臨床所見を参考に、『新FIGO分類』に準じて進行期(ステージ)が決定されます。進行期の把握は治療方針を立てるために重要で、治療前に行われます。子宮頸部は、表面を覆う上皮細胞(扁平上皮細胞、腺細胞)とその内側にある間質細胞からなり、両者は基底膜によって隔たれています。子宮頸がんは異形成を経て上皮細胞に発生し、しばらく上皮内にとどまっています(上皮内がん)が、徐々に基底膜を破って間質に入り込んでいきます(浸潤がん)。そして、がんが大きくなると、子宮頸部を越えて腟壁や子宮を支える子宮傍組織、骨盤壁や膀胱、直腸などへ入り込み、肺などへ遠隔転移していきます。
子宮頸がんと診断されると、次はがんの深さや広がりから、がんの進行の程度を表す進行期(ステージ)が決定されます。進行期は、治療方針を立てるために重要なもので、内診や視診、超音波検査で得られた臨床所見に加えて、コルポ診や膀胱鏡、直腸鏡、尿路造影、直腸・膀胱粘膜生検などの検査結果を参考にして総合的に判断されます。また、進行期決定の際、がんの大きさやリンパ節転移、遠隔転移などの評価が可能で、治療方針立案にも有用なCT(コンピュータ断層撮影)やMR(I 磁気共鳴画像)、PET(陽電子放射断層撮影)などが行われることもあります。
現在、日本の進行期分類には、世界的に使われている国際産科婦人科連合(FIGO)の『新FIGO分類』(2008年改訂)が用いられています。同分類では、子宮頸がんをⅠ、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳの4期に分け、それぞれAとBに分類し、Ⅰ期のAは病巣の深さ・広がり、Ⅰ期BとⅡ期Aは病巣の大きさにより、さらに1と2に分けています。
なお、日本では子宮頸がん全体の約46%が上皮内がんであることから、『新FIGO分類』では2010年に削除された0期を進行期分類に残しています。子宮頸がんの進行期はほかのがんと異なり、治療前に決定し、治療後に変更しないことが原則とされています。
本コンテンツは認定NPO法人キャンサーネットジャパンが2015年3月に出版した「もっと知ってほしい子宮頸がんのこと」より抜粋・転記しております。