目次
<一般的な説明>
試験概要
この治験は、骨転移の見られる乳がん患者で、HER2陰性、ホルモン受容体陽性の患者に対してアロマターゼ阻害薬エキセメスタン(商品名アロマシン)とmTOR阻害薬エベロリムス(商品名アフィニトール)の併用療法下で医療用放射線医薬品である塩化ラジウム-223の使用をする群とプラセボを投与する群に分け、非盲検(どちらの群かわからない状態)にて塩化ラジウム-223の効果を評価する臨床試験です。
治験薬剤の説明
ラジウムはカルシウムと同じような動態(体内でどこに蓄積されるか等)を示すため、骨に蓄積されやすい性質があります。塩化ラジウム-223は、体内に取り込まれると骨転移に集積に腫瘍に集積することができます。塩化ラジウム-223は、それ自体が放射線の一種であるα線を放出する治療用放射性医薬品です。α線に曝露された細胞はDNAの構造が変異し、抗腫瘍効果が期待できます。塩化ラジウム-223によるα線の影響はとても限られた範囲に限られるため、その他の臓器へのダメージは抑えることができます。
主な参加条件等
この試験の対象となりうる方
- 18歳以上の方
- 手術や放射線療法による治療が不可能な転移性乳がんを有する方
- 組織学的又は細胞学的にエストロゲン受容体(ER)陽性、HER2陰性乳腺腺がんと診断された方
- 骨への転移を主体とし、ベースライン時に少なくとも2ヵ所の骨転移が骨シンチグラフィーで認められ、かつコンピュータ断層撮影(CT)/磁気共鳴画像法(MRI)で確認された方。(リンパ節転移は許容)
- エキセメスタンとエベロリムスを転移時のセカンドライン以降の治療法として投与することが、適切とみなされる方。
- 無症候性又は軽度症候性乳がんの方
この試験の対象とならない方
臨床試験公開情報
ClinicalTrials.gov Identifier : NCT02258451 (最終更新日2015/10/12)詳細はコチラ
治験概要
転移性HER2陰性、ホルモン受容体陽性の骨転移を有する乳癌患者に対するエキセメスタンとエベロリムス併用下での塩化ラジウム-223の第II相、無作為化、二重盲検、プラセボ対照比較試験
対象がん種 | 乳がん(HER2陰性、ホルモン受容体陽性) |
フェーズ | P2 |
実施期間 | 2015年6月~2018年9月 |
実施国 | 日本、米国、オーストリア、ベルギー、カナダ、チェコ、フランス、ドイツ、香港,イスラエル、イタリア、韓国、オランダ、ポーランド、シンガポール、スペイン、スイス、台湾、英国 |
目標症例 | 311 |
状況 | 募集中または募集前 |
手法 | ランダム化、二重盲検、プラセボ対照 |
被験薬名 | BAY 88-8223 (一般名:塩化ラジウム-223、 商品名:—–) |
種類 | 放射線医薬品 |
投与経路 | 経口 |
<専門的な説明>
試験概要
本治験の目的は、ヒト上皮成長因子受容体2(HER2)陰性、ホルモン受容体陽性の骨転移を有する乳癌患者を対象として、塩化ラジウム-223をエキセメスタン及びエベロリムスと併用したときの有効性及び安全性を評価することである。(JAPIC-CTI)
治験薬剤の説明
塩化ラジウム-223は、アルファ線を放出する治療用医薬品であり、骨転移に対して抗腫瘍効果を発揮する。塩化ラジウム-223はカルシウムと同様に、骨塩(ヒドロキシアパタイト)複合体を形成することにより、骨、特に骨転移巣を選択的に標的とする。高LET(線エネルギー付与)放射線であるアルファ線は、腫瘍細胞に対して高頻度でDNA二本鎖切断を誘発し、強力な殺細胞効果をもたらす。また、アルファ線の飛程は100 μm未満であるため、周辺正常組織へのダメージを最小限に抑えるという。(2014/12/24時点)
バイエル薬品工業HPプレスリリースより抜粋
注意
・試験タイトルに英語記載がある場合、JAPIC等の日本語公開情報に掲載がないことを意味します。
・試験概要の「専門的な説明」は、JAPICやUMINに情報がある場合はそこから、ない場合はClinidcaltrials.govから転記しています。
・薬剤の「専門的な説明」は、開発企業に情報がある場合はそこから、ない場合はNCI(National Cancer Institute)から転記しています。
・専門的な記載を一般の方がわかるよう記載していますが、当社の認識が誤っていることがありますので、必ず実際の公開情報を確かめてください。
・実施医療機関は明記できませんが、実際の公開情報に明記されている場合があります。
・主な参加条件には記載された基準以外にも多くの基準があります。
初回作成:川村 千恵(最終更新:可知 健太)