目次
<一般的な説明>
試験概要
KRAS遺伝子に変異をもつステージ4の非小細胞肺がんの患者に対して、アベマシクリブとエルロチニブを投与し、全生存期間と腫瘍の進行を抑える期間を評価する試験です。なお、患者は過去に白金製剤(カルボプラチンやシスプラチンなど)と免疫チェックポイント阻害薬(ニボルマブやペンブロリズマブ等)に対してがんの進行が認められている方とし、これらの治療法を含む2つの治療法を実施していなければなりません。
(2015年12月7日現在は日本においては免疫チェックポイント阻害薬は承認されていないため、使用しなくても問題ない可能性あり)
治験薬剤の説明
アベマシクリブはサイクリン依存性キナーゼ4/6阻害薬となり、メカニズムは以下の図の通りです。
主な参加条件等
この試験の対象となりうる方
- 18歳以上の方
- ステージ4の非小細胞肺がんと診断された方
- KRAS 遺伝子のコドン12 又は13 に変異のある方
- 白金製剤を含む化学療法を受けた後に増悪し、進行及び/又は転移性病変に対してさらに別の1 種類の化学療法による治療を受けた方、又は医師により追加の標準化学療法を二次治療として実施することが不適格であるとされた方
- RECISTとという指標を使用して、腫瘍大きさの測定が可能な方
- パフォーマンスステータスが0~1の方
- すべての抗がん治療(化学療法、放射線療法、免疫療法、及び治験治療など)を終了し、治験薬の投与開始日までに骨髄抑制作用のある薬剤の場合21日以上、骨髄抑制作用のない薬剤の場合14日以上経過している方
この試験の対象とならない方
- 適応症を問わず未承認であり、骨髄抑制作用のない薬剤又は骨髄抑制作用のある薬剤の投与をそれぞれ治験薬の初回投与前14 又は21 日以内に受けた方
- 原因不明又は心血管に起因する失神又は失神に至る寸前の状態、心室性不整脈、又は突然心停止のいずれかの既往を有する方
- 中枢神経系転移を有する方。ただし、安定している場合は可(ステロイド剤などの積極的治療をこれ以上必要としない)
臨床試験公開情報
JAPIC No : JapicCTI-142683(最終更新日2015/3/3 コチラ)
ClinicalTrials.gov Identifier : NCT02152631(最終更新日2016/2/22 コチラ)
KRAS 変異を有し、白金製剤を含む化学療法後に増悪したIV 期の非小細胞肺癌患者を対象として、ベスト・サポーティブ・ケア併用下でLY2835219 とエルロチニブを比較する無作為化 第III相試験(JUNIPER)
対象がん種 | 非小細胞肺がん |
フェーズ | P3 |
実施期間 | 2014年9月~2017年5月 |
実施国 | 日本、米国、イタリア、ドイツ、フランス、スペイン、ルーマニア、ポーランド、オーストリア、ギリシャ、カナダ、台湾、中国、ロシア、トルコ、ウクライナ |
目標症例 | 550 |
状況 | 募集中 |
手法 | ランダム化,オープンラベル |
被験薬名 | LY2835219(一般名:abemaciclib アベマシクリブ、 商品名:-----) |
種類 | 細胞周期阻害薬(サイクリンキナーゼ4/6阻害薬) |
投与経路 | 経口投与 |
<専門的な説明>
試験概要
KRAS 遺伝子変異を有するステージ4の非小細胞肺癌の患者を対象として、支持療法下でのLY2835219 及びエルロチニブの全生存期間と無増悪生存期間により薬効を評価する
治験薬剤の説明
サイクリン依存性キナーゼは、細胞周期の進行を制御する上で重要な役割を果たしています。多くのがんにおいて、CDK 4/6からのシグナル伝達が増強することで、細胞周期の制御が喪失します。その結果、がん細胞が無制限に増殖します。リリーのabemaciclib(LY2835219)は、CDK 4及び6を特異的に阻害することに よってがん細胞の増殖を抑制することを目的とした細胞周期阻害剤です。
リリープレスリリースより (https://www.lilly.co.jp/pressrelease/2014/news_2014_013.aspx)
注意
・試験タイトルに英語記載がある場合、JAPIC等の日本語公開情報に掲載がないことを意味します。
・試験概要の「専門的な説明」は、JAPICやUMINに情報がある場合はそこから、ない場合はClinidcaltrials.govから転記しています。
・薬剤の「専門的な説明」は、開発企業に情報がある場合はそこから、ない場合はNCI(National Cancer Institute)から転記しています。
・専門的な記載を一般の方がわかるよう記載していますが、当社の認識が誤っていることがありますので、必ず実際の公開情報を確かめてください。
・実施医療機関は明記できませんが、実際の公開情報に明記されている場合があります。
・主な参加条件には記載された基準以外にも多くの基準があります。
臨床試験(治験)とは
・当サイトは積極的に日本で実施されている臨床試験情報(治験)を紹介していますが、臨床試験は効果や安全性を確認することが主たる目的となる場合が多く、確立されている治療法を示しているものではありません。参加を検討する際には、臨床試験のリスクとベネフィットをよく理解してください。宜しければ、「もっと知ってほしい薬の開発と臨床試験のこと」をご参照ください。
・その他、「臨床試験記載のルールについて」をご確認ください。
初回作成:可知 健太