前立腺がんの疾患情報
前立腺がんとは
精液の一部をつくる男性生殖器である「前立腺」に発生するがんです。近年急増しており、2020年には男性のがんの罹患数の第2位になると予想されています。
前立腺は男性生殖器の一部で、膀胱のすぐ下にある栗の実の形をした臓器です。尿道を取り囲むように位置しており、ここで精液の一部がつくられます。この前立腺に発生する悪性腫瘍が前立腺がんです。
世界全体で見ると、前立腺がんは男性のがんの13.7%を占めています。罹患率は、すべてのがんのなかで2番目です。もともと欧米を中心とした西欧諸国に特に多く、それに比べるとアジア諸国の罹患率はかなり低かったのですが、最近は日本でも急増してきました。2020年には肺がんに次いで、男性がんの罹患数第2位になると予想されています。
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前立腺がんの検査
腫瘍マーカー測定、直腸診、超音波検査で「がんの疑い」があれば確定診断を下すために前立腺生検を行います。
前立腺がんのスクリーニング検査には、PSA検査、直腸診、超音波検査が用いられます。PSA検査はPSA(前立腺特異抗原)と呼ばれる腫瘍マーカーの測定、直腸診は医師が肛門から指を入れて、直腸粘膜越しに前立腺の状態を触診する方法です。超音波検査(経直腸的前立腺超音波検査)では、超音波を発する器具(プローブ)を肛門から挿入し、前立腺の内部をモニター上に画像として描き出します。
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前立腺がんの進行期や悪性度について
前立腺に限局した段階から遠隔転移のある段階まで複雑に分類され、がんの悪性度も9段階に細かく分類されます。
前立腺がんは、「どのぐらい進行しているのか」(病期)と「どのぐらい悪性であるか」(悪性度)によって分類されます。
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前立腺がんの手術療法
手術は前立腺がんの治療法としてよく行われていますが、ほかの多くのがんと違って部分切除という選択肢はなく、基本的にすべて前立腺全摘除術になります。最も大きな理由は前立腺がんは臓器内に多発する性質があり、全摘しなければ微小ながん細胞を取り残す可能性が高いからです。ほかに、小さな臓器で部分切除は困難であることや、全摘が生命に関わらないことも、理由として挙げられるでしょう。
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前立腺がんの放射線療法
外から放射線を照射する方法と、線源を前立腺に埋め込む方法があり、どちらも転移のないがんの根治目的で実施します。限局性前立腺がんの場合、放射線療法も根治を期待できる治療法です。治療効果は手術と甲乙つけがたく、患者さんの考え方やライフスタイルなどに合わせて治療法を選択します。
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前立腺がんの化学療法
男性ホルモンの分泌や取り込みを阻害する内分泌療法が中心で、手術効果が薄れて、がんが再燃した場合は抗がん剤を使います。前立腺がんは男性ホルモン(アンドロゲン)の影響を受けて発生し、進行するホルモン依存性がんです。逆にいえば、男性ホルモンがなければ増殖できません。この特性を利用するのが、内分泌療法(ホルモン療法)です。手術で精巣を除去する方法もありますが、一般には薬物で男性ホルモンを抑制します。
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前立腺がんの再発転移
治療後に残った小さながん細胞が再び増殖し始めるのが再発、がん細胞が他の組織に移動して、そこで腫瘍を形成するのが転移です。根治目的で手術しても目に見えない微細ながん細胞が残り、それが再び増殖し始めた状態が「再発」です。放射線療法で消滅させたはずのがん細胞がしぶとく生き残り、増殖し始めるのも再発です。同じ臓器(前立腺がんの場合、摘出した部位やその周辺)ではなく、離れた組織や臓器に「転移」した状態で見つかることもあります。
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