・ホルモン感受性転移性前立腺がん患者が対象の第3相試験
・イクスタンジ+アンドロゲン除去療法(ADT)の有効性・安全性を比較検証
・無増悪生存期間、全生存期間ともに未到達であり、
全生存期間はプラセボ+ADT群に対して統計学的有意に改善を示した
4月14日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にてホルモン感受性転移性前立腺がん患者に対する経口アンドロゲン受容体シグナル伝達阻害薬であるイクスタンジ(一般名:エンザルタミド、以下イクスタンジ)+アンドロゲン除去療法(ADT)の有効性を比較検証した第3相のARCHES試験(NCT02677896)の結果がDuke Cancer CenterのAndrew J. Armstrong氏らにより公表された。
ARCHES試験とは、ホルモン感受性転移性前立腺がん患者(N=1150人)に対して1日1回イクスタンジ160mg+アンドロゲン除去療法(ADT)を実施する群(N=574人)、またはプラセボ+アンドロゲン除去療法(ADT)を実施する群(N=576人)に無作為に振り分け、主要評価項目として画像診断による無増悪生存期間(rPFS)、副次評価項目として全生存期間(OS)などを比較検証した国際多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照第3相試験である。
本試験に登録された患者背景は下記の通りである。年齢中央値はイクスタンジ+ADT群70.0歳(46~92歳)に対してプラセボ+ADT群70.0歳(42~92歳)。人種は白人が81.2%に対して79.9%、アジア人が13.1%に対して13.9%。ECOG PSはステータス0が78.0%に対して76.9%、ステータス1が21.8%に対して23.1%。全治療歴は0レジメンが82.1%に対して82.3%、1~5レジメンが2.4%に対して1.9%、6レジメンが15.5%に対して15.8%。PSA中央値は5.4ng/mlに対して5.1ng/ml。以上の背景を有する患者に対する本試験の結果は下記の通りである。
主要評価項目である画像診断による無増悪生存期間(rPFS)中央値は、イクスタンジ+ADT群の未到達に対してプラセボ+ADT群で40.5ヶ月と、イクスタンジ+ADT群で画像診断による病勢進行または死亡(rPFS)のリスクを62%改善した(HR:0.38、95%信頼区間:0.31-0.48)。
副次評価項目である全生存期間(OS)中央値は、両群間で未到達であり、イクスタンジ+ADT群で死亡(OS)のリスクを34%統計学的有意に減少(HR:0.66、95%信頼区間:0.53-0.81、P<0.001)を示した。24ヶ月全生存率(OS)、36ヶ月全生存率(OS)、48ヶ月全生存率(OS)は、イクスタンジ+ADT群で86%、78%、71%に対してプラセボ+ADT群で82%、69%、57%をそれぞれ示した。
一方の安全性として、治療期間中央値(イクスタンジ+ADT群40.2ヶ月(95%信頼区間:0.2-58.1ヶ月)、プラセボ+ADT群13.8ヶ月(95%信頼区間:0.2-27.6ヶ月))時点における結果は下記の通りである。全グレードの有害事象(AE)発症率は、イクスタンジ+ADT群の90.9%に対してプラセボ+ADT群で87.8%、グレード3~4の有害事象(AE)発症率はイクスタンジ+ADT群の39.2%に対してプラセボ+ADT群で27.9%、有害事象(AE)起因の死亡率はイクスタンジ+ADT群の5.2%に対してプラセボ+ADT群で2.1%であった。
以上のARCHES試験の結果よりAndrew J. Armstrong氏らは「ホルモン感受性転移性前立腺がん患者に対する経口アンドロゲン受容体シグナル伝達阻害薬イクスタンジ+アンドロゲン除去療法(ADT)は、プラセボ療法に比べて重要な副次評価項目である全生存期間(OS)を統計学的に改善しました」と結論を述べている。
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