国立がん研究センター中央病院 皮膚腫瘍科、希少がんセンター 山﨑 直也
国立がん研究センター希少がんセンター 加藤 陽子
メラノーマ患者会 Over The Rainbow 徳永 寛子
認定NPO法人キャンサーネットジャパン理事 柳澤 昭浩
がん情報際サイト「オンコロ」オンコロジー事業本部 本部長 可知 健太
■開会挨拶
■講演 前編
■講演 後編
■ディスカッション
■閉会挨拶
柳澤) はい。じゃあ、皆さんからいただいた質問、できるだけ一般化できる質問で、先生方にお話をいただきたいと思います。すいません。それで、途中で僕、ちょっと講義抜けたので、もしかしたら、山崎先生もう言われたものを再度質問するかもしれないんですけど、
山崎) でもね、1回じゃわからないこと、いっぱいありますからね。それは繰り返し、はい。
柳澤) はい。わかりました。ヤーボイとオプジーボ、CTLA-4、というカテゴリと、阻害薬とオプジーボ、これはPD-1・・・
山崎) PD-1です。
柳澤) ですね。の併用で、再発事例で、どれぐらいのがんが消えた?CRですかね。完全に消える率ってのは、どれぐらい報告されたんでしょうか?
山崎) CRの率っていうのは、ごめんなさい。正確に覚えていないです。奏効率、CRとPR合わせた率が6割弱ぐらいです。それは、とても高いんです。イピリムマブ・ヤーボイの奏効率が10%ですね。オプジーボの奏効率は、無治療の人で4割弱、世界中見たときにね。それから、既治療って言って、治療が入ってる方で3割弱ぐらいです。だからそれに比べて、二つ合わすと6割弱っていうのは異常に高い。でもかなり、その中のかなりの人がCRに近いです。そして。ほぼ100%消える方が、たくさん続出してるっていう報告ですね。ただ、ごめんなさい。正確にCR率は覚えていないです。
柳澤) はい。ありがとうございます。今、CRとかPRという定義が出たんですけど、可知さん、簡単にちょっと定義をお話ししてもらっていいですか?
可知) 私から説明させていただきます。先生、間違えてたらフォローしていただければと思います。まず、固形がんの場合は、RECISTという指標を使いまして、基本的にはすべての腫瘍径を総和しまして、それの30%以上縮小した人をPRっていうふうに言います。その中で100%、要するに腫瘍消失した方をCRと言いまして、たぶん先生、CRにすごく近いというのは、たぶん60%か70%超えてられた方。
山崎) 100に近い。
可知) 本当に100に近いってことですかね?
山崎) イピリムマブ、ニボルマブの併用試験の成績は、すごく100に近いですね。腫瘍のちっちゃくなる率が、はい。
可知) いちおう画像じゃ、少しみられるかもしれないけれどもっていう方っていうことですよね?
山崎) そうですね。
可知) ということでして、基本的に奏効率60%、50%超えてくるっていうのは、すごい治療ということになりますので、やはり併用すると本当にすごいんだなっていうのは、私もメディカルライターとしていろいろ見てますけれども、すばらしい治療だなっていうふうに期待しております。
山崎) そうですね。はい。
柳澤) そういったところの定義も知っておくと、ちょっとわかりやすいかなと思います。それと、もう一つは、これいろんな領域で、メラノーマだけじゃないと思うんですけども、事前に薬が効く人と効かない人の選別がわかったりしないのか?という質問です。
山崎) そうですね。これはみんなが知りたいと思ってるんですね。事前に薬が効く人と効かない人がわけられないか?それから、副作用が強く出る人と出ない人がわけられないか?それから、治療続けていってる途中に、これ以上続ける値打ちがあるのかやめたほうがいいのかっていうことがわからないか?そういうのを、調べる手立てをバイオマーカーって言います。血液を検査させてもらったり、腫瘍そのものを検査させてもらって、その中で、情報がないかどうか?これはもう、世界中で躍起になって調べています。なかなか、これがいいよっていうのがないのが現状です。ただし、今度2月に出るペンブロリズマブで、これはメラノーマと肺がんで使われるんですけども、肺がんはファーストラインって言って、無治療の人に使われるようになります。今までの抗がん剤に代わって使われるようになります。だけどその条件はPD-L1って言う、PD-1の相手方なんです。細胞見たときにPD-L1の発現って言って、これは病理っていうとこの先生や、検査の先生が調べるんですけども、PD-L1が高発現って言って、PD-L1が、とても陽性に出てる人っていうのは、よく効くので、そういう人に使いましょうっていうことが決まってます。だから、ペンブロリズマブは肺がんの非小細胞肺がんっていう小細胞肺がん以外の肺がんの人、誰にでも使えるんじゃなくて、前もってPD-L1っていうのの発現を見て、これがバイオマーカーの一つですね。それがとてもよく出てる人に使うっていう、こういうことがこれからも起こってきます。ただ、その検査方法なんかが、ちょっとまだ統一されていないとか、いろんな問題があって広く広まるには時間がかかると思うんですけども、ほかの分野でも、やっぱりそういうこと考えているので、PD-L1は、一つすごく注目されてるバイオマーカーですが、ほかにもっといいのがあるんじゃないか?というふうにも考えられています。
柳澤) ありがとうございます。年末なんですけども、ここにあるかどうかわかんないですけど、キャンサーネットジャパンで、「もっと知ってほしいバイオマーカーのこと」っという冊子を作ってます。インターネットでもダウンロードできるので、見ていただければ全部載ってます。そこでは乳がんのハーセプチンっていうお薬のHER2の過剰発現とか、いくつもの疾患でバイオマーカーっていうのは、だんだんわかってきたという状況になっています。事前に始まる前に徳永さんとも話してたんですけど、キイトルーダ(ペンブロリズマブ)は、もう肺がんでは無償提供(※現在は終了)で使えるんですけど、ちょっと言いたいことがあるんですよね?
徳永) あ、そうですね。少々、患者としてはやはり、メラノーマで先に承認された以上、なぜ、メラノーマが先に使えないのかっていうのは、やっぱりちょっと、もやっとしたポイントであって、まあ、年末に先生とも相談して、ダメもとでも一応要望書を出してみようっということで、厚労大臣さん宛と、あと製薬会社さんのほうにも一応お送りしてみたんですが、やはり製薬会社さんは担当の方なので返答いただいたんですが、やはりファーストラインってことで、いろいろ基準があるなかで肺がんのほうは使えるのでっていうようなお返事をいただいたので、まあ、やっぱりな。という思いはあるんですが、やはりメラノーマから承認されたお薬で、なぜメラノーマが先に使えないのかっていうのは患者として、すごく、納得いかないって言うとあれですけどね。
山崎) でも、そうですよね。患者さんの気持ちは、当然そうだと思うので、
徳永) それは、すごくあります。
山崎) 僕は協力して、お手紙、書類作って大臣に出しましたけどね。
徳永) そうですね。一応出しましたけど、はい。
山崎) それはね、一つ一つの行動、行いが、一つだけが実を結ばなかったとして、それを、だからあきらめる必要は全然なくて、やっぱりその行動を続けることが大事でね。徳永さんたちが、メラノーマの場合は患者会を作られる前は、患者会ってなかったわけです。で、僕は若いころから、それが不思議だなと思ってて、僕の先輩たちは、そういう動きをしないのかなって思ってて、で、ある時に患者会を作るようにしたんですけど、その中の目的の一つは、もうそれです。患者さんの声が直接、国に届くようにと。それが一番やっぱり影響が大きいというか、国を動かすちからになりますよ。そのことと、それは治療法よくするために絶対に必要だろうと思ったのと、後はこういう機会もそうですけど、患者さんに、世の中にいっぱいある情報の中に正しい情報、役に立つ情報と、そうでない情報が混じり過ぎてるので、そういうことが整理できるように、一緒に考えていける集まりがあるといいなと思ってやりましたので、だからあの年末の行動は患者会として、必ず行ったほうがいいことだと思ってので協力しました。
徳永) はい。
柳澤) 加藤さん。
加藤) 私、希少がんホットライン担当してるんですけど、今回の山崎先生、徳永さんが言われたようなことに関して、さまざまな希少がんのがん腫の患者さん、ご家族の方から生の声を聞いております。その生の声っていうのを少しでも上、厚労省もそうだし、医師たちに伝えるように希少がんホットラインも努力しておりますので、もし、希少がんホットラインに電話されるとき、皆さんの本音っていうか生の声を聞かせていただければ、私のほうで少しでも、お役に立てるように活動したいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。
柳澤) はい。ありがとうございます。このセミナーの役割の一つとしては、臨床で患者さんと接しておられる医師とか、研究にかかわられる医療者、それと患者さん、で、加藤さんとか看護師ですし、希少がんっていっても、一つ一つの疾患になると非常に患者さんは少ないですから、まとまって大きな声にならないかというところを、今日こうやってご参加いただいて、徳永さんのような活動されてる方がおられますので、皆さん、声を寄せていただくことで、また変わると思いますので、Over The Rainbowですね。
徳永) はい。
柳澤) ホームページ等もありますから、情報得るだけではなくて、同じ体験をされた方の集まりというのが持てる機会にもなりますので、是非、応援をお願いいたします。
別の質問に移りますね。患者さん、ご家族の方なんでけども、患者さんの精神状態によって、例えば、ネガティブであったり、心配性であったり、逆の場合もありますね。ちょっとポジティブ過ぎたりとか、そういう状況で、がんに与える影響っていうのは、医学的に身体的に、これは山崎先生に聞きたいのと、それと電話相談とか受けてると、たぶんそういう患者さんもいっぱいおられると思うんですけど、そういう影響についてコメントがございますでしょうか?
山崎) これは難しい。それを数値化したりするのは難しいので、これは僕よりも適切な先生方が、まあ精神腫瘍の先生とかおられると思うんですね。なので、あくまで印象でしか答えられないですけど、それはネガティブよりもポジティブのほうが、絶対にいいなと思うけども、まあ、考えないでと言ったって、事が起これば悩むに決まっているし、つらいことたくさんあるに決まっているし、細かいことが気になるのは当たり前なんですけども、だからこそ患者会がいるかな。1人で悩まないこと、くよくよするのは、たぶんよくないですね。それから、細かいことにとらわれ過ぎる。印象ですけど、さっきじゃあ、腫瘍の大きさ1cmが1.2cmになったかどうかを悩むのは、あんまりよくないんじゃないかなと、もうちょっと長い目で見たほうがいいんじゃないかな。あんまり検査結果大事ですけど、一喜一憂するよりも、少しそこは鷹揚(おうよう)に構えてっていうふうに思いますけどね。でも難しいですよね。
柳澤) じゃあ、加藤さんインプレッションとしてですけども、それがQOL(クオリティ・オブ・ライフ)っていうか、患者さんの生活の質に与える影響も考慮して、どういうふうなイメージをお持ちですか?
加藤) まず、希少がんホットラインに電話される。この中でもされた方がいらっしゃるかもしれないんですけど、皆さんすごく、心が弱ってる状態でかけられてくるんですよ。なので、少しでも、そういうのを口に出して話すことによって、皆さんの頭が整理されて、希少がんホットラインではなくても構わないので、今、後ろのほうにボランティアで参加してる中央病院の、がん相談支援センターのソーシャルワーカーがいるんですけども、そういうふうな相談支援センターの相談窓口でも構わないので使っていただいて、話してみるっていうのがまず一つ、そこで頭が整理されて、患者さんたち電話かけてくるときって、インターネットとかで調べてこられるんですが、自分の、例えば「メラノーマかもしれないって何で知ったんですか?」って言うと、「ほくろが、なんかギザギザしてるから、これがメラノーマじゃないか?」って「病院に行きましたか?」って言ったら「まだ行ってない」って言うんですよね。「じゃあまず病院に行ってみたらどうですか?」っていうかたちで、こうネガティブな気持ちのときに、なんかこう適切な情報を得て、行動に移してみるっていうだけでも、不安は軽減できるんではないかなっというふうに考えてます。取りあえず誰かに話をして、頭を整理してみるっていうことが大切なんじゃないかなっというふうに思います。
徳永) 私はすごく、もともとポジティブな人間で、あんまり、くよくよすることはないんですけど、そのポジティブさが、ちょっとした体の異変を、がんに結びつけなかったという経験が、ちょっとあったので、飛行機に長時間乗ったから腰が痛いと思ってたら、それが、骨への転移になってしまったという経験があるので、ポジティブ過ぎるのも、ちょっと問題だなと自分の経験上思いました。やはりちょっと転移があったりした場合は、自分の体のちょっとした変移でも、もしかしたら何か、がんに関係することじゃないかと思わなきゃいけない時期もあったのかなと思いました。
柳澤) はい。ありがとうございます。ちょっと直接的には関係しないんですけど、つい最近に出た論文の、あれは可知君が記事にしたんだよね?
可知) 乳がんの?
柳澤) 乳がんじゃなかったかな。
可知) アドヒアランス?
柳澤) アドヒアランス。
可知) 最近、ある医学誌に、その治療を開始する前に、その治療に対してネガティブな気持ちになって、治療を臨まれると副作用率とアドヒアランスってのは、服薬順守率とか治療完遂率とか、そういったところの基準なんですけれども、そういったのが下がるといった論文が出ております。おそらく考察としては、やっぱりネガティブになることを先生方に言われると、例えば、「薬の量を減らしてみたらいいんじゃないか?」とか、たぶん、患者さんが勝手に、先生に黙って服薬をちょっとやめてしまったり、1日とかそういった、きつくない規模でやってると、がんて、本当に臨床試験は、その服薬をちゃんと順守した基準の基で、いい結果が出ていますので、そのネガティブな気持ちのまま治療に臨まれると、そういったところでいい結果がでなかったといった論文、科学的データが出てきているっていったところもありますので、そういったところで、気持ちって本当に大事だなっていうふうに感じております。
柳澤) そうですね。これもだから論文的に、薬物治療の影響を、過大にも過少にも評価せずに、「まあ、ちょっと大変だな」っていうふうに思って始めるよりも、「できるだけ頑張って行きましょう」って前向きな気持ちで始めるほうが、可知君が言ったみたいにいい結果に、論文どおりの結果につながる可能性が高いというのが、アナルズ・オブ・オンコロジーですから、しっかりした雑誌に発表されました。次、この質問も大変いいと思うんですけど、免疫チェックポイント阻害薬は、先生さっき言われたみたいに何コースか、2、3コースいって、その後に効いてくる患者さんもたくさんいると。それと同時に、いわゆる免疫系の副作用も、ずっと続くと、で、それはブレーキがかかった状態、それを外して免疫が効くようにすると、1回そういうふうな状況になった後に、もう一回元に戻すことはできないのか?という質問ですね。
山崎) あんまりね。わかってないんです。僕さっき、わからないなりに自分でちょっとだけコメントしました。「ガソリンが切れたら止まるかも?」って言いました。そのイメージでいいのかどうかが、はっきりわからないんです。ただ、特にステロイドってお薬を中心に勢いを落として、なだめてなだめて、その自分の元気過ぎるTリンパ球を、なだめてなだめて、眠らせてやるっていうか、おとなしくしてやるっていうことを、僕らは行って治療するので、抑えることはできます。じゃあ皆さんが、そのステロイドを全部やめられるかっていうと、あるところまで減らすと、やっぱりぶり返す。副作用がもう1回出ることがあるんです。だから、ステロイドも少量だけども、ずっと必要な人もいるので、なかには抑えが効いて元に戻る人もいるし、そうでない方もあります。お薬が必要な方はありますね。はい。
柳澤) まだちょっと、薬が出てきて期間があんまりないので、わかんないとこも多いとは思うんですけども、徐々に、たくさんの患者さんのデータが集積してくると、わかってくるところもあると思います。ステロイド関係でいうと、さっきちょっと始まる前に雑談もしてたんですけど、ステロイド、今どうですか?
徳永) そうです。減らしていってたんです。副作用抑えるために減らして使って、それがうまくいってたので減らしていったんですけど、やっぱりあるとことに来たら、また熱が出るっていうことが出て、いったんもう1回、1段階前に戻して、また今、落ち着いているっていう感じなので、
山崎) そうですね。徳永さん身を持って経験して、
徳永) そうですね。身を持って経験。
山崎) そうなんです。それが僕らにフィードバック、僕は徳永さんに限らず患者さんと、そういうとき電話で連絡しながら、減らしたり増やしたりしてるので、今のところ、その一つ一つが僕らの経験になってるっていうとこもありますね。まだ、はっきりわからないですね。
柳澤) そういう機会を、先生あるいは加藤さんなり、コミュニケーションできる医療者と共有することで、一つずつの積み重ねになっていって、より良い治療につながるということになると思います。それで、加藤さんにちょっとお伺いしたいんですけど、結構、ほかの疾患でも悩みが多いのは皮膚障害。これ事前の質問にもいただいたんですけど、皮膚障害のマネージメントが、結構やっぱり難しいっていうのと、病院によって随分、指導方法とか違うっていうふうに言われるんですけど、患者さんの声から言えることっていうのありますか?
加藤) 皮膚障害のことについて電話相談受けるんですけど、実際患者さんが言われることと実際とが、ちょっと食い違ってることがあるんです。ただ、私が電話相談受けて感じるのは、まあ、メラノーマもこうやって見えるじゃないですか?目に見えるものっていうのは、ものすごく患者さん達、気になるみたいなんですよ。で、先生方に大丈夫だって言われても、でもやっぱりこう、例えば、肉腫のことを希少がんセンター長が話すと思うんですが、ちょっとボコッてあるって、そういうときでもすごく気になるって言われてるので、私からこれぐらいなんですけど、皮膚障害は山崎先生が得意としてるので、
山崎) そうですね。皮膚障害はね。大体20年ぐらいの歴史があるんですよ。まあ、20年ぐらいの歴史しかないっていうかな。で、僕はメラノーマの治療が全然進歩しない前半、20世紀の終わりぐらいから、2005年2006年ぐらいまでは、皮膚障害のお手伝いばっかりしてた時期があって、やっぱりそのお薬、それは例えば、肺がんなり、大腸がんなり、肝臓がんなり、腎臓がんなり、いいお薬がどんどん出てくるんです。いいお薬がどんどん出てきて、昔のお薬から改善されて、患者さんに、がんのお薬の治療をするときに「これからがんをお薬で治療しましょうって言われたら、どんな副作用を思い付きますか?」って言うと、患者さんは普通、二つおっしゃるんです。気持ち悪いことと、髪の毛抜けること、で、そういうことは起こらなくなってる。新しい薬は、。でも、その時点でやっぱりわからない。起こったときにどうしたらいいかわからない代表が皮膚障害だったんです。ニキビのようなブツブツがいっぱいできる。爪の周りが荒れてきて痛くてしょうがない。そういうやつがあって、それはでも、世界中どのお医者さんもわからないまま。
僕は国際ミーティングに時々出るんですけど、本当はそういう治療を、世界中コンセンサスを持って、これがいいよってできるといいんだけど、成り立ちが、みんなお医者さんが職人のように治療を手作りでした結果、いろんな国でいろんな地域で、いろんな処置ができあがってて、なかなかまとまらないんです。そこにみんな限界も感じているんだけど、でもそこで自分の、秘伝の薬みたいなのもあるって思ってる。皮膚科の先生って、割となんか薬を混ぜることで秘伝の薬がまだある。ほかの分野でそういうのないですね。飲み薬や注射では無いけど、だから統一できない部分があってね。日本では、今は数年前から皮膚科学会と臨床腫瘍学会で、がんのお薬使う先生と皮膚障害診るところでコラボして、それがどんどん、まとまるようにしてるのと、がんセンターでいうと、アピアランス支援センターが、あるいは外見のケアをしましょうっていうところで、やっぱりそれは統一できるように、治療が良くできるようにって努力しています。
柳澤) ありがとうございます。
山崎) そういう本も去年の夏に、お医者さん向けに出ましたので、みんなにいい情報が、ある程度共有できるものがいきわたり始めたっていうところです。
柳澤) ありがとうございます。皮膚障害とかは、割と女性とかはね、表に出る副作用なので気にかかるとは思うんですけども、ずいぶん介入によって結果が違うみたいなので、医師とか看護師さんには、どんどん相談されたほうが、いいと聞いています。今、山崎先生も言及されたんですけども、どんどん新しい薬が出てくると副作用も新しい種類が出てきて、マネージメントが医師も含め医療者、努力されるわけですけど、今いったい、治験とかで新しい薬が出てくる可能性っていうのは、「オンコロ」は可知君のほうは、メラノーマで調べてもらったのかどうかこれから紹介できるような、今走っているような治験とか、期待される治験とかって何本かあるわけですかね?
可知) 先生の講演中にclinical trials.gov(クリニカルトライアルズ・ドット・ガブ)というアメリカの、国が運営している治験の情報サイトがあるんですね。これには日本の治験の情報も、実は載ってまして、それでメラノーマと検索しますと、11件、日本で実施しているものでヒットしました。ただフェーズⅢとかフェーズⅡ段階は、今、新しい薬がどんどん出てきたばかりの段階でして、基本的にはフェーズⅠていう、初めて人に投与するようなところを、メラノーマだけではなく、ほかの固形がんも一緒に実施で治験が、だいたい11件というふうに認識しておりまして、そのうち山崎先生が講演中でお話しされたような免疫チェックポイント阻害薬と、ある分子標的薬や、新しい免疫チェックポイント阻害薬です。これはPD-L1とかPD-1とかCTL-4を標的ではない。もう少し新しいような免疫チェックポイント阻害薬の併用療法というものがありました。あと、これでちょっと先生に聞きたいのが、実は国立がん研究センターは、中央病院も東病院も、自院でやってる治験情報掲載されていまして、そこで見ていますと、今、T-VECの治験は登録中というふうに書いてあったので、どうなのかな?って、ちょっと私の個人的な質問ですが。
山崎) 正確に言うとね、登録直前だと思うんです。本当は僕もなんですよ。患者さんが待ってるんです。で、もうすぐですね。1月下旬から登録できるっていうふうに聞いてたんだけど、手続き上、あと体制整える。体制整えるっていうのは、さっき僕、言いましたけど、腫瘍溶解ウイルスっていうものなんです。今、メラノーマの治療で新しく出てきてるもの、T-VECはその代表で、ヘルペスウイルスっていうのを、遺伝子改変したものを、がんに打ち込んで、がんをやっつけてもらおうって、そうするとそれは感染したらいけないんです。ヘルペスウイルスだから患者さんに感染したり、誰かにうつっちゃいけないから、病院は体制をきちんと組まないといけないですね。それに少し慎重になってます。そのために少し遅れてる。今、僕、患者さんがね、問い合わせが来てて、2人ね、もうやりたいなと思ってるんだけど、おそらく2月にずれ込んじゃう。だけどその辺りは、治験ですから間違いのないように、危険のないようにっていうことですね。
T-VECを皮切りに、さっきも言いましたけど、うちはあと三つ、今年は少なくともあと三つ始めますね。
僕は、ここ3年間は皮膚科のお医者さんたちに、「新しい治療が出てきたから良かった」っていう話を、ずっとしてるんだけど、「今年は、もう言い方を変える」ってみんなに言ってるんですけど、みんな経験した結果、良くなる人は前より増えました。でも、治らない人いっぱいいるでしょう。それを協力して治療していくには、やっぱり一つ一つの病院でバラバラに治療してるよりは、みんなで協力して患者さんの集約って言いますけどね。日本の患者さんが少なかったのに、お薬がこれだけできたのは、みんなの協力のおかげなんですね。そこは、病院でいうと、いくつかの中心的な病院に患者さんが集まって、遠いとこから来るのは大変ですけど集まって、ある短期間に集中的に同じ方法で治療した結果、効果と安全性がわかって国が認めてくれるので、やっぱり今は割と、どの先生たちも前よりうれしくて、バラバラに六つの薬剤を使ってる時代なんです。だけど、今年はちょっと見直していると、いろんなところで、やっぱりもう1回、1段階もっと治療成績上がるように、またみんなで集まっていきましょうっていうことが大事だって思ってます。
柳澤) はい。今日はそろそろ時間になりましたので、可知君と私はいいので、お1人ずつコメントをいただくという、質問を全部取り上げて行きたいと思うので。
山崎) そうですね。
柳澤) 徳永さんからですけど、希少がんっていうのは仲間が少ない。知り合いが少ない。年齢もばらつきがある。っていう中で、希少がんの付き合い方、教えてほしいなっていうのが、患者さん、質問来てます。
徳永) そうですね。少ないんですけど、私はこの病院に通ってるから、すごくメラノーマの患者さん、たくさんいるなと感じるんですけど、やっぱり、ほかの病院に行くと、本当に病院に1人、2人、まあ10人いればいいほう、そんなに、たぶんいないと思うんですね。インターネットのある時代なので、私たちの患者会も、もともとインターネットのつながりから始まったものだったので、本当に、そのインターネットできない世代の方には、申し訳ない。まだちょっと体制が整ってなくて申し訳ないんですけども、「ひとりじゃないんだ」ということを、わかってもらいたいなっていうのは、すごくあります。実際に、いっぱいではないけれど、それが集まったら、すごい楽しいですね。今まで話せなかったことを話せたり、私の病気はこうでっていう話をするだけで、みんなすごく笑顔になって帰っていってくださるので、私たちの活動も本当に広げていかなければ、いけないなとは、すごく思っています。今はまだ東京都内ぐらいでしか、活動ができないですけれども、「ひとりじゃないんだ」っていうことを、「自分だけどうして?こんなつらい思いしなきゃいけないんだろう?」って思う方が、絶対皆さんそうなんですけども、同じような体験、同じお薬使ってれば、「ああ、同じ、私もこんな副作用出ました」とかっていう話が、患者会で集まったときにできるので、希少がんっていうとこに、あまりにも少ない、少ないっていうところに、意識しなくてもいいんじゃないかなと、私は最近思うようになってます。
柳澤) はい。ありがとうございます。メラノーマは実は世界的な啓発月間、5月でしたっけ?
徳永) はい。昨年、決まったんです。アメリカで開催された世界各国の、メラノーマの患者団体とか支援団体が集まる会議というのに、日本も呼んでいただきまして、行ってきました。そこで議題に挙がったことは、この治験へのアクセスということは、もちろん主に挙がったんですけども、世界メラノーマデイを決めようっていうことがありまして、もともとメラノーママンデーというのがアメリカにあったので、5月の第1月曜日っていうのが、第1候補に挙がってたんですけど、日本で5月の第1月曜日って、だいたい連休になるので、それは、日本はちょっと困りますっていう話をして、5月の第2月曜日になりました。これは何をやるかっていうのは、まだ、いろいろ準備段階であるんですけど、日本としては、その日をメラノーマデイとして、1週間ぐらい啓発活動などをしていって、週末になんかこう、先生を呼んで講演会だったり、患者さん同士で集まってお茶会をするなど、そういうことを考えていって、世界的にメラノーマを知っていいただくっていうことを、盛り上げていこうかなと思っています。
柳澤) はい。希少がん、こういうふうに毎回取り上げて、毎月1回で12しか取り上げられないんですけど、もう実際には200とか、細かく分けちゃうとすごく多いので、これをきっかけにメラノーマ啓発月間が5月になって、我々もできることがあるかもしれないので、またその時は、覚書をさせてもらいたいと思います。で、加藤さん。
加藤) はい。
柳澤) ご相談の内容から、患者さんが相談の多い内容で、「どうかそこは心配されなくても結構ですよ」っていうような代表的な質問がもしあって、ここでメッセージがいただけるようでしたら、
加藤) 先ほども申しましたが、ポッと見て、インターネットで見て、自分のあざとかが、何かが、メラノーマじゃないか?って心配して電話かけてくる方が、メラノーマの分析をしてると3分の1ぐらいなんですよ。で、「病院にかかりましたか?」って言ったら、「いや、かかってない。心配だから」って、山崎先生、診てもらいたいってのが多いんですけども、その時にインターネットの情報は、そのままうのみにせずに、心配だったら近くの皮膚科でいいですよね?
山崎) まあ、皮膚科専門医が少なくともね。難しいとこなんですね。近くの内科皮膚科とか、婦人科皮膚科とかいうところが、どれぐらい診てくれるかが難しいので、できれば皮膚科。っていうところがいいと思いますけどね。
加藤) そういうところにちょっと行ってみて、「ああ、これは専門病院に行ったほうがいい」と思ったら、そういうふうな行動、移されたほうがいいんじゃないかなと思うのと、メラノーマは、皆さん皮膚にしか、できないっていうふうなこと言われてて、先生も講義されてたんですが、メラノーマは全身にできます。口の中とか、胃の中とか、食道とか、そういうことをちょっと、皆さんの頭の中に入れていてもらえたらいいなと思ってるのと、そういうところが今回、希少がんセンターの、ホームページ見たことあると思うんですが、メラノーマの部分が、あまりまだ更新されていないので、皮膚だけじゃなくて粘膜とか、あと脈絡膜、目にもできますから、そういうところを、情報を発信していけるように、患者さんたちの不安が、少しでもなくなるように発信していきたいなというふうに思ってます。
柳澤) はい。どうもありがとうございました。最後に山崎先生に聞こうとしていた質問が、今、ご言及をいただいたので、質問の中に、食道の悪性黒色腫等もあるんですけど、それは、いわゆる皆さんが見れるようなメラノーマとの治療成績の差はあるんですかと、質問があったんですけど、
山崎) おそらくね、さっき僕、ステージ別の皮膚のメラノーマのこと言いました。薄いメラノーマはステージⅠの人は、ほとんど治ると言いました。おそらく、早く見つかれば同じなんですよ。だけどそういう知識はないし、まさかそんなところにできると思わないし、実際に発見できないし、そのために進んじゃうですね。分厚くなっちゃう。だから、そこが問題なんですね。ほかの病院、ほかの先生、ほかの患者さんが、ほとんど見たことないけれども、がんセンターではたくさん見たことがあるっていう状態が、いろいろあるんですが、例えば典型的な、鼻の中にメラノーマ、鼻腔のメラノーマってできるんですよ。だけど、それは鼻の中に、小さいほくろのようなやつがあったって、絶対わかりませんよね?で、鼻の中にメラノーマがわかるきっかけは三つなんです。一つは出血で、一つは閉塞(へいそく)、詰まること、一つは腫れなんです。で、患者さんくると、きっとそうだろうなっと思って話聞くと、そうなんです。だから症状が出てからわかっちゃうと、やっぱりそれは進んでるっていう証拠になっちゃうので、そういうことが早く見つかるように、もし、早く見つかれば、僕は治療成績が一緒だと思ってます。それが見つかる工夫ができるといいけども、なかなか、あざみたいなやつが、体の中にあるときっていうのは、発見しにくいですよね。すごく少ないんですけどね。1人1人は、でも、がんセンターのようなとこにいると、そういう困った方が集まってくると、それがなんとかできないかと思いますよ。
柳澤) はい。
山崎) 見えるところは見たほうがいい。口の中、お尻、そういうところに見えるところは見たほうがいいです。内臓の奥はちょっと難しくってごめん。はい。
柳澤) ありがとうございました。時間延長して質問を受けましたけれども、これぐらいにさせていただいて、最後、加藤さんにもう1回お戻しします。
加藤) はい。皆さんまだまだ聞きたいところかもしれませんけども、ちょっと時間もオーバーしておりますので、これで終わりにさせていただきたいんですが、最後に国立がん研究センター中央病院、病院長の西田俊朗から、ちょっと皆様にお話がありますので、お待ちください。