■この記事のポイント
・免疫チェックポイント阻害薬PD-1抗体オプジーボが進行腎細胞がん適応にて米国で承認
・承認申請から約2週間という短さでスピード承認は異例
・申請に使用したデータは日本も含まれる臨床試験によるため、日本での1日でも早い承認申請が待たれる
アメリカ食品医薬品局(Food and Drug Administration; FDA)は、11月23日に、免疫チェックポイント阻害薬PD-1抗体ニボルマブ(商品名オプジーボ)を血管新生抑制の治療歴を有する進行期腎細胞がん(RCC)患者の治療において、オプジーボ(ニボルマブ)点滴静注を承認したことを発表しました。
オプジーボが進行腎細胞がんの承認申請を行ったのが11月5日、FDAにより優先審査対象として指定を受けたのが11月16日であり、約2週間足らずでスピード承認されています。腎細胞がん対象としての免疫チェックポイント阻害薬としては初の薬剤となります。
今回、申請に使用されたデータは「血管新生抑制の治療歴を有する進行腎細胞がん患者を対象にした標準療法であるエベロリムス(商品名アフィニトール)と比較した第3相臨床試験(CheckMate-025試験)」の結果を元としています。CheckMate-025試験では、オプジーボを使用した患者の生存期間の中央値は25カ月、エベロリムスは19.6カ月と統計学的に有効性を示し(p=0.0018)、試験は有効性を証明できたとして早期中止されました。また、この臨床試験での安全性プロファイルは、これまでに報告されたオプジーボの臨床試験の結果と一貫していたとのことです。
参考:腎細胞がん オプジーボ アフィニトールより生存期間延長 ECC2015(オンコロニュース20151001)
約2週間というスピード承認についての理由をFDAは明言しておりませんが、FDAニュースリリース上にて、FDAのヘマトロジー・オンコロジー担当ディレクターのRichard Pazdur氏は、「オプジーボは腎細胞がん患者において重要な治療を提供した」と述べ、更に「腎細胞がんにおいて、数少ない生存期間を延長する薬剤である」と述べています。FDAが承認した腎細胞がん適応の薬剤では2007年に承認されたテムシロリムス(商品名トリーセル)以来とのこと。
なお、CheckMate-025試験は、日本も実施した国際共同試験であり、日本での承認申請が待たれます。
FDAニュースリリース
小野薬品工業プレスリリース
ブリストルマイヤーズプレスリリース
【オプジーボの腎細胞がん対象臨床試験(Clinical trials.gov;英語)】
Nivolumab Combined With Ipilimumab Versus Sunitinib in Previously Untreated Advanced or Metastatic Renal Cell Carcinoma (CheckMate 214)
概要:進行・転移腎細胞がんに対して1次治療として、PD-1抗体オプジーボとCTLA-4抗体ヤーボイの免疫複合療法と主に血管新生阻害薬であるスニチニブ(スーテント)単剤とを比較する試験
記事:可知 健太
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