2017年11月17日から19日までシンガポールで開催されている欧州臨床腫瘍学会アジア会議(ESMO ASIA)2017にて、治療歴のある進行再発大腸がん患者に対するトリプルリジン・チピラシル塩酸塩(商品名ロンサーフ;以下ロンサーフ)単剤療法の有効性を証明した第III相のTERRA試験(NCT01955837)の国籍別サブグループ解析の結果が発表された。
本試験は、少なくとも2レジメン以上の治療歴(フッ化ピリミジン系薬剤、イリノテカン、オキサリプラチンを含む)のある治癒切除不能進行再発大腸がんアジア人患者(N=406人)に対してロンサーフ単剤療法を投与する群、またはプラセボ単剤療法を投与する群に2:1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目としてOS(全生存期間)、副次評価項目として無増悪生存期間(PFS)を比較検証した国際多施設共同に第III相試験である。
なお、本試験に登録されたアジア人とは中国、韓国、タイの3ヶ国であり日本は含まれていない。また、その内訳は中国人75.1%(N=305人)、韓国人20.0%(N=81人)、タイ人4.9%(N=20人)である。
本試験の結果、主要評価項目である全生存期間(OS)は、3ヶ国全ての患者群においてプラセボ単剤療法よりもロンサーフ単剤療法が有意に改善することが証明された。3ヶ国別の全生存期間(OS)、無増悪生存期間(PFS)の結果は下記の通りである。
中国人患者(N=305人)における全生存期間(OS)、無増悪生存期間(PFS)はそれぞれハザードリスク比0.82(95%信頼区間:0.62-1.08)、0.41(95%信頼区間:0.31-0.54)、ロンサーフ単剤療法群(N=204人)で改善傾向が確認された。
韓国人患者(N=81人)における全生存期間(OS)、無増悪生存期間(PFS)はそれぞれハザードリスク比0.77(95%信頼区間:0.48-1.26)、0.56(95%信頼区間:0.34-0.93)、ロンサーフ単剤療法群(N=55人)で改善傾向が確認された。
タイ人患者(N=20人)における全生存期間(OS)、無増悪生存期間(PFS)はそれぞれハザードリスク比0.54(95%信頼区間:0.19-1.53)、0.54(95%信頼区間:0.20-1.42)、ロンサーフ単剤療法群(N=12人)で改善傾向が確認された。
一方の安全性としては、ロンサーフ単剤療法群におけるCTCAE Ver4.0に基づくグレード3以上の有害事象(AE)は、30%以上の患者において好中球減少症が確認された。また、グレード3以上の発熱好中球減少症(FN)は確認されず、悪心、嘔吐、下痢を含むグレード3以上の有害事象(AR)の発症率も2%以下であった。
以上の試験の有効性、安全性の結果より、進行再発大腸がんの三次治療以降の選択肢として、ロンサーフ単剤療法は新しい治療選択肢になり得ることが証明された。
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