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進行性胃がんアジア人患者に対する二次治療としてのPARP阻害薬オラパリブ+タキソール併用療法、全生存期間を延長するも有意差なしThe Lancet Oncologyより

  • [公開日]2017.11.28
  • [最終更新日]2017.11.28

2017年11月2日、医学誌『The Lancet Oncology』にて一次治療後に増悪した進行性胃がん(胃食道接合部がんを含む)アジア人患者に対するパクリタキセル(商品名タキソール)+ポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ(PARP)阻害薬であるオラパリブ(商品名リムパーザ)併用療法有効性を検証したGOLD試験(NCT01924533)の結果が公表された。

本試験は、一次治療後に増悪した進行性HER2陰性胃がんアジア人患者(N=525人)に対して、タキソール+リムパーザ併用療法(N=263人)を投与する群、タキソール+プラセボ併用療法(N=262人)を投与する群に1:1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目である全生存期間(OS)を比較検証した国際多施設共同の第III相試験である。なお、患者全体の18%(N=94人)において腫瘍の免疫組織化学(IHC)検査によりATMタンパク発現陰性と判定されており、この患者群における全生存期間(OS)も比較検証している。

本試験の結果、主要評価項目である全生存期間(OS)中央値はタキソール+リムパーザ併用療法群8.8ヶ月(95%信頼区間:7·4–9·6ヶ月)、タキソール+プラセボ併用療法群6·9ヶ月(95%信頼区間:6·3–7·9ヶ月) 、タキソール+リムパーザ併用療法により死亡リスク(OS)が21%(ハザード比:0·79,95%信頼区間:0·63–1·00,P=0·026)減少するも、本試験で設定された統計学的意義のあるP値(p<0·025)を達成することはできなかった。

また、毛細血管拡張性運動失調症変異(ATM)タンパク発現陰性がん患者群における全生存期間(OS)中央値はタキソール+リムパーザ併用療法群12·0ヶ月(95%信頼区間:7·8–18·1ヶ月)、タキソール+プラセボ併用療法群10·0ヶ月(95%信頼区間:6·4–13·3ヶ月) 、タキソール+リムパーザ併用療法により死亡リスク(OS)が27%(ハザード比:0·73,95%信頼区間:0·40–1·34,P=0·25)減少するも、本試験で設定された統計学的意義のあるP値(p<0·025)を全患者群同様に達成することはできなかった。

一方の安全性は、最も一般的に確認されたグレード3以上の有害事象(AE)はタキソール+リムパーザ併用療法群では好中球減少症30%(N=78人)、白血球減少症16%(N=42人)、好中球減少15%(N=40人)、タキソール+リムパーザ併用療法群では好中球減少症23%(N=59人)、白血球減少症10%(N=27人)、白血球減少8%(N=21人)であった。また、死亡に至った有害事象(AE)は2人の患者で確認され、タキソール+リムパーザ併用療法群では肝障害による死亡が1人、タキソール+リムパーザ併用療法群では心不全により死亡が1人であった。

以上の試験の有効性、安全性の結果を受けて、一次治療後に増悪した進行性HER2陰性胃がんアジア人患者に対するタキソール+リムパーザ併用療法は主要評価項目である全生存期間(OS)が全患者群においても、毛細血管拡張性運動失調症変異(ATM)タンパク発現陰性がん患者群においても統計学的有意に延長しないことが証明された。

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