2018年1月18日より20日までアメリカ合衆国・カルフォルニア州・サンフランシスコで開催されている消化器癌シンポジウム(ASCO-GI2018)のポスターセッションにて、再発難治性大腸がん患者に対するレゴラフェニブ(商品名スチバーガ;以下スチバーガ)の最適用量を検証した第II相のReDOS試験(NCT02368886)の結果がMayo Clinic・Tanios S. Bekaii-Saab氏らにより公表された。
ReDOS試験とは、再発難治性大腸がん患者(N=123人)に対して28日を1サイクルとして1日1回スチバーガ80mgを21日間投与、7日間休薬で開始し、重度な治療関連有害事象(TEAE)を発症しない場合1週間毎に40mg/日ずつ増量し、最大160mg/日の投与スケジュールの群(アームA)、28日を1サイクルとして投与初回より通常用量である1日1回スチバーガ160mgを21日間投与し、7日間休薬する投与スケジュールの群(アームB)、アームA群患者に対する手足症候群予防を目的としてクロベタゾールを投与する群(アームA2)、アームB群患者に対する手足症候群予防を目的としてクロベタゾールを投与する群(アームB2)に1:1:1:1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として2サイクルの治療を完遂して3サイクル目の治療を開始する患者割合、副次評価項目として全生存期間(OS)、無増悪生存期間(PFS)などを検証したオープンラベルの第II相試験である。
本試験は2015年6月より2017年6月の期間でアームA群54人、アームB群62人の合計123人の患者が登録された。登録された患者の背景は年齢中央値61歳(29-81)、男性61%、女性39%、パフォーマンスステータス(PS) 0の患者37%、1の患者63%、KRAS遺伝子変異野生型44%、変異型47%、不明9%であった。
本試験の結果、主要評価項目である2サイクルの治療を完遂して3サイクル目の治療を開始する患者割合はアームA群43%に対してアームB群25%(片側検定P=0.0281)、アームA群で主要評価項目を達成することが証明された。
また、副次評価項目である全生存期間(OS)中央値はアームA群9.0ヶ月に対してアームB群5.9ヶ月(P=0.094)、無増悪生存期間(PFS)中央値はアームA群2.5ヶ月に対してアームB群2.0ヶ月(P=0.553)を示した。
一方の安全性としては、グレード3または4の有害事象(AE)発症率は手足症候群がアームA群15%に対してアームB群16%、高血圧が7%に対して15%、疲労が13%に対して18%の患者でそれぞれ確認された。他にも1サイクル目の2週時点におけるQOLはアームB群よりもアームA群で改善傾向を示した。
以上のReDOS試験の結果より、Tanios S. Bekaii-Saab氏らは以下のような結論を述べている。”スチバーガを80mg/日より開始し徐々に通常用量である160mg/日に増量する投与方法は、スチバーガの通常の投与方法よりも安全性、有効性ともに優れていることが証明されました。本試験の結果は新しい投与方法を確立することになるでしょう。”
なお、アームA2、アームB2の投与方法であるクロベタゾール予防投与の効果については現在も検証中であり、今回のポスターセッションでは公表されていない。
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