・切除後ハイリスクのステージIII悪性黒色腫(メラノーマ)患者に対する術後化学療法としてのキイトルーダ、プラセボに比較して1年無再発生存率(RFS)を統計学有意に延長する
・キイトルーダの1年無再発生存率(RFS)延長はPD-L1発現率陽性患者群においてもその優越性が確認された
・キイトルーダの1年無再発生存率(RFS)延長の優越性はBRAF遺伝子変異に有無に関係なく示された
2018年4月15日、メルク・アンド・カンパニー社のプレスリリースにて切除後ハイリスクのステージIII悪性黒色腫(メラノーマ)患者に対する術後化学療法としての抗PD-1抗体薬であるペムブロリスマブ(商品名キイトルーダ;以下キイトルーダ)単剤療法、またはプラセボ療法の有効性を検証した第III相のEORTC1325/KEYNOTE-054試験(NCT02362594)の結果が公表された。
EORTC1325/KEYNOTE-054試験とは、切除後ハイリスクのステージIIIA、IIIB、IIIC悪性黒色腫(メラノーマ)患者(N=1019人)に対して3週毎にキイトルーダ200mgを最大で1年間投与する群(N=514人)、またはプラセボを最大で1年間投与する群(N=505人)に無作為に振り分け、主要評価項目として全患者群における無再発生存率(RFS)、PD-L1発現率陽性患者群における無再発生存率(RFS)、副次評価項目として全生存率(OS)を比較検証した国際多施設共同二重盲検下の第III相試験である。
本試験の結果、主要評価項目である全患者群における1年無再発生存率(RFS)はキイトルーダ群75.4%(95%信頼区間:71.3%-78.9%)に対してプラセボ群61.0%(95%信頼区間:56.5%-65.1%)、キイトルーダ群で再発または死亡(RFS)のリスクが43%統計学有意に減少(ハザードリスク比:0.57,98.4%信頼区間:0.43-0.74, p<0.0001)を示した。
また、PD-L1発現率陽性患者群における1年無再発生存率(RFS)はキイトルーダ群77.1%(95%信頼区間:72.7%-80.9%)に対してプラセボ群62.6%(95%信頼区間:57.7%-67.0%)、PD-L1発現率陽性患者群においてもキイトルーダ群で再発または死亡(RFS)のリスクが46%統計学有意に減少(ハザードリスク比:0.54,95%信頼区間:0.42-0.69, p<0.0001)を示した。
なお、キイトルーダ群における1年無再発生存率(RFS)の優越性はBRAF遺伝子変異の有無に関係なく示され、それぞれのハザードリスク比は下記の通りであった。BRAF遺伝子野生型患者群(ハザードリスク比:0.64,99%信頼区間:0.42-0.96)、BRAF遺伝子変異型患者群(ハザードリスク比:0.57,99%信頼区間:0.37-0.89)。
一方の安全性としては、悪性黒色腫(メラノーマ)患者に対してキイトルーダを投与した時の既存の安全性プロファイルと一致しており、EORTC1325/KEYNOTE-054試験で新たに確認された治療関連有害事象(TRAE)はなかった。
グレード3以上の治療関連有害事象(TRAE)発症率はキイトルーダ群14.7%に対してプラセボ群3.4%、最も確認された治療関連有害事象(TRAE)は下記の通りである。倦怠感または無力症37.1%、皮膚障害28.3%、下痢19.1%、関節痛12.0%、吐き気11.4%。
また、グレード1または2の免疫関連有害事象((irAEs)としては甲状腺機能低下症14.3%、甲状腺機能亢進症10.2%、甲状腺炎3.1%。グレード3以上の免疫関連有害事象((irAEs)としては大腸炎2.0%、肝炎1.4%、肺炎0.8%。
以上のEORTC1325/KEYNOTE-054試験の結果より本試験の責任医師であるGustave Roussy Cancer Institute・Alexander Eggermont氏は以下のように述べている。”切除後ハイリスクのステージIII全ての悪性黒色腫(メラノーマ)患者さんに対してキイトルーダ単剤療法は無再発生存率(RFS)を統計学有意に延長することを示しました。”
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