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閉経前ホルモン受容体陽性HER2陰性進行性乳がんに対するCDK4/6阻害剤リボシクリブ+ホルモン療法、無増悪生存期間(PFS)を統計学的有意に延長する医学誌『The Lancet Oncology』より

  • [公開日]2018.05.31
  • [最終更新日]2018.05.31
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・第III相のMONALEESA-7試験とは、閉経前ホルモン受容体陽性HER2陰性進行性乳がん患者に対して、リボシクリブ+ホルモン療法を投与する群、またはプラセボ+ホルモン療法を投与する群の有効性を比較検証した試験である
主要評価項目である無増悪生存期間PFS中央値はリボシクリブ群23.8ヶ月に対してプラセボ群13.0ヶ月、リボシクリブ群で病勢進行または死亡のリスクを45%統計学的有意に減少した
副次評価項目である全奏効率ORR)はリボシクリブ群41%に対してプラセボ群30%、リボシクリブ群で全奏効率(ORR)が統計学的有意に良好であった

2018年5月24日、『THE LANCET Oncology』にて閉経前ホルモン受容体陽性HER2陰性進行性乳がん患者に対するCDK4/6阻害剤であるリボシクリブ(商品名Kisqali)+ホルモン療法併用療法の有効性を検証した第III相のMONALEESA-7試験(NCT02278120)の結果がMD Anderson Cancer Center・Debu Tripathy氏らにより公表された。

MONALEESA-7試験とは、閉経前ホルモン受容体陽性HER2陰性進行性乳がん患者(N=672人)に対して、リボシクリブ+タモキシフェン併用療法(N=87人)もしくはリボシクリブ+非ステロイド性アロマターゼ阻害剤(NSAI)併用療法(N=248人)を投与する群、またはプラセボ+タモキシフェン併用療法(N=90人)もしくはリボシクリブ+非ステロイド性アロマターゼ阻害剤(NSAI)併用療法(N=247人)を投与する群に1:1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として無増悪生存期間(PFS)、副次評価項目として部分奏効(PR)または完全奏効(CR)の割合として定義された全奏効率(ORR)、全生存期間OS)を比較検証した国際多施設共同二重盲検下の第III相試験である。

本試験に登録された患者背景はリボシクリブ群、プラセボ群それぞれ下記の通りである。年齢中央値はリボシクリブ群43歳(25-58歳)、プラセボ群45歳(29-58歳)。人種は白人56%(N=187人)に対して60%(N=201人)、アジア人30%(N=99人)に対して29%(N=99人)、黒人3%(N=10人)に対して3%(N=9人)。ECOG Performances Statusはスコア0が73%(N=245人)に対して76%(N=255人)、スコア1が26%(N=87人)に対して23%(N=78人)、スコア2が0%に対して1%未満(N=1人)。

転移個数は0個が1%未満(N=1人)に対して0%、1個が33%(N=112人)に対して35%(N=117人)、2個が32%(N=106人)に対して29%(N=99人)、3個以上が35%(N=116人)に対して36%(N=121人)。転移部位は軟部組織7%(N=25人)に対して6%(N=21人)、骨75%(N=251人)に対して73%(N=247人)、内蔵58%(N=193人)に対して56%(N=188人)、リンパ節42%(N=142人)に対して47%(N=158人)、皮膚2%(N=8人)に対して2%(N=8人)。

手術治療歴はありの患者60%(N=202人)に対して58%(N=194人)。放射線治療歴ありの患者48%(N=161人)に対して54%(N=183人)。ホルモン受容体の陽性率はエストロゲン受容体陽性率99%(N=331人)に対して99%(N=335人)、プロゲステロン受容体陽性率87%(N=290人)に対して85%(N=288人)。術前または術後化学療法としてのホルモン療法治療歴はなしの患者62%(N=208人)に対して58%(N=196人)、ホルモン療法治療歴12ヶ月以内の患者30%(N=100人)に対して31%(N=105人)、ホルモン療法治療歴12.1ヶ月以上の患者7%(N=25人)に対して10%(N=35人)。

以上の背景を有する患者における無作為からのフォローアップ期間中央値19.2ヶ月時点の本試験の結果は下記の通りである。主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値はリボシクリブ群23.8ヶ月(95%信頼区間:19.2ヶ月-未到達)に対してプラセボ群13.0ヶ月(95%信頼区間:11.0ヶ月-16.4ヶ月)、リボシクリブ群で病勢進行または死亡のリスクを45%統計学的有意に減少(ハザード比0.55,95%信頼区間:0.44-0.69,p<0.0001)した。

また、タモキシフェンを併用した群、非ステロイド性アロマターゼ阻害剤(NSAI)を併用した群のそれぞれの無増悪生存期間(PFS)中央値は下記の通りである。まず、タモキシフェンを併用した患者群(N=177人)における無増悪生存期間(PFS)中央値はリボシクリブ群22.1ヶ月(95%信頼区間:16.6ヶ月-24.7ヶ月)に対してプラセボ群11.0ヶ月(95%信頼区間:9.1ヶ月-16.4ヶ月)、リボシクリブ群で病勢進行または死亡のリスクを41%減少(ハザード比0.59,95%信頼区間:0.39-0.88)した。

次に、非ステロイド性アロマターゼ阻害剤(NSAI)を併用した患者群(N=495人)における無増悪生存期間(PFS)中央値はリボシクリブ群27.5ヶ月(95%信頼区間:19.1ヶ月-未到達)に対してプラセボ群13.8ヶ月(95%信頼区間:12.6ヶ月-17.4ヶ月)、リボシクリブ群で病勢進行または死亡のリスクを43%減少(ハザード比0.57,95%信頼区間:0.44-0.74)した。

副次評価項目である全奏効率(ORR)はリボシクリブ群41%(95%信頼区間:36%-46%,N=137人)に対してプラセボ群30%(95%信頼区間:25%-35%,N=100人)、リボシクリブ群で全奏効率(ORR)が統計学的有意に良好であった(P=0.00098)。なお、もう一方の副次評価項目である全生存期間(OS)については解析時点においてイベント数未達のため結果は未成熟であった。

一方の安全性としては、5%以上の患者で確認されたグレード3または4の治療関連有害事象(TRAE)はリボシクリブ群、プラセボ群それぞれ下記の通りである。好中球減少症はリボシクリブ群61%(N=203人)に対してプラセボ群4%(N=12人)、白血球減少症は14%(N=48人)に対して1%(N=1人)、ALT上昇5%(N=18人)に対して1%(N=5人)、発熱好中球減少症2%(N=7人)に対して1%(N=2人)であった。

なお、重篤な治療関連有害事象(STRAE)はリボシクリブ群18%(N=60人)に対してプラセボ群12%(N=39人)、治療中または治療開始30日以内における死亡は1%(N=5人)に対して2%(N=6人)の患者で発症している。主な死亡理由は乳がんの病勢進行によるものであった。

以上のMONALEESA-7試験の結果よりDebu Tripathy氏らは以下のように結論を述べている。”閉経前および閉経周辺期のホルモン受容体陽性HER2陰性進行性乳がん患者さんに対するリボシクリブ+ホルモン療法併用療法は、無増悪生存期間(PFS)を統計学的有意に延長し、副作用も管理可能でした。以上の結果より、この併用療法は一次治療の新しい治療選択肢になり得るでしょう。”

Ribociclib plus endocrine therapy for premenopausal women with hormone-receptor-positive, advanced breast cancer (MONALEESA-7): a randomised phase 3 trial(THE LANCET Oncolog, DOI: https://doi.org/10.1016/S1470-2045(18)30292-4)

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